9/28(金) ニュースの視点 最終回
「背水の国・ニッポン」
福田政権が誕生した。自ら「背水の陣内閣」と名付けた。しかし今、「背水の陣」にいるのは自民党政権ではなく、日本そのものなのではないだろうか。
何よりもこの国は、国際的にも国内的にも「自立」していない。例えば、アメリカの「核の傘」の中にいるために、核廃絶を訴えても説得力を持たない。
憲法に恒久平和を掲げながら、沖縄には巨大・軍事基地がいつまでも存在している。イラク戦争を批判できず、ミャンマーで軍事政権反対のデモが起きても、すぐに支援メッセージを送れずにいる。
アメリカに気を遣ってイスラム国家との信頼関係が築けずにいる。イランとは石油の共同開発が出来ず、中東和平にも影響力を発揮できない。
また、戦争責任をはっきりと認めていないために、アジア各国との関係がいつまでもギクシャクしている。戦争の賠償責任を経済援助という形にすり替えたために、各国の国民にはその誠意が伝わっていない。慰安婦問題でいつまでも批判を浴び続けているのがいい例だ。拉致問題で北朝鮮を追い詰められないのは、中国、韓国などアジア各国の理解を得られていないからだ。
そして、この国は国内的にも自立できずにいる。国と地方の借金は長期債務残高だけで約770兆円。借入金や短期物の債権を含めると1000兆円を超している。原因は、行政府が収入以上のお金を使い続けたためだ。余分なお金は、無駄な公共工事に注がれた。
官僚たちは多くの関連団体をつくり、天下り先にした。そこで行われる予算のぶんどり合戦――腕力による税金の奪い合いを演じている。まるで「高崎山のサル」だ。サルより始末が悪いのは、もらえる餌が足りなくなると、借金をして勝手に増やしてしまう知恵を持っていたことだ。
ところで、この国には精神を病んでいる若者たちが非常に多いのが気になる。「登校拒否」、「いじめ」、「ひきこもり」、「キレやすい子どもたち」。そして、教育現場には都合の悪いことを隠してしまおうとする悪しき慣行が広がっている。
大人たちは拝金主義に陥り、環境や文化をないがしろにしている。そのために心の豊かさやゆとりを失っている。子どもは大人の鏡。将来に対する不安やあきらめが深く影を落としている。
福田首相は記者会見で「若い人に希望が持てる社会を目指す」と言ったが、明確な将来像は語っていない。すべてのことを曖昧なまま、きちんと解決せずに時の流れに風化させてきたのが、これまでのこの国の姿だった。本当に若者たちに希望のある国をつくれるのか、日本は今、「背水の陣」に立たされてい
る。
ところで、1年6カ月続いた「視点」は今日が最後。長い間、本当にありがとうございました。
福田政権が誕生した。自ら「背水の陣内閣」と名付けた。しかし今、「背水の陣」にいるのは自民党政権ではなく、日本そのものなのではないだろうか。
何よりもこの国は、国際的にも国内的にも「自立」していない。例えば、アメリカの「核の傘」の中にいるために、核廃絶を訴えても説得力を持たない。
憲法に恒久平和を掲げながら、沖縄には巨大・軍事基地がいつまでも存在している。イラク戦争を批判できず、ミャンマーで軍事政権反対のデモが起きても、すぐに支援メッセージを送れずにいる。
アメリカに気を遣ってイスラム国家との信頼関係が築けずにいる。イランとは石油の共同開発が出来ず、中東和平にも影響力を発揮できない。
また、戦争責任をはっきりと認めていないために、アジア各国との関係がいつまでもギクシャクしている。戦争の賠償責任を経済援助という形にすり替えたために、各国の国民にはその誠意が伝わっていない。慰安婦問題でいつまでも批判を浴び続けているのがいい例だ。拉致問題で北朝鮮を追い詰められないのは、中国、韓国などアジア各国の理解を得られていないからだ。
そして、この国は国内的にも自立できずにいる。国と地方の借金は長期債務残高だけで約770兆円。借入金や短期物の債権を含めると1000兆円を超している。原因は、行政府が収入以上のお金を使い続けたためだ。余分なお金は、無駄な公共工事に注がれた。
官僚たちは多くの関連団体をつくり、天下り先にした。そこで行われる予算のぶんどり合戦――腕力による税金の奪い合いを演じている。まるで「高崎山のサル」だ。サルより始末が悪いのは、もらえる餌が足りなくなると、借金をして勝手に増やしてしまう知恵を持っていたことだ。
ところで、この国には精神を病んでいる若者たちが非常に多いのが気になる。「登校拒否」、「いじめ」、「ひきこもり」、「キレやすい子どもたち」。そして、教育現場には都合の悪いことを隠してしまおうとする悪しき慣行が広がっている。
大人たちは拝金主義に陥り、環境や文化をないがしろにしている。そのために心の豊かさやゆとりを失っている。子どもは大人の鏡。将来に対する不安やあきらめが深く影を落としている。
福田首相は記者会見で「若い人に希望が持てる社会を目指す」と言ったが、明確な将来像は語っていない。すべてのことを曖昧なまま、きちんと解決せずに時の流れに風化させてきたのが、これまでのこの国の姿だった。本当に若者たちに希望のある国をつくれるのか、日本は今、「背水の陣」に立たされてい
る。
ところで、1年6カ月続いた「視点」は今日が最後。長い間、本当にありがとうございました。
