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放送内容
森啓次郎エッセイ
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8/17(金)ニュースの視点 No071
「暑さで誤作動!?防衛人事」


 記録的猛暑が続いている。「ラニーニャ現象が現れた夏は暑くなる」の予想通り、埼玉県熊谷市では40度を超した。

 また、北海道札幌市では火災報知器が次々誤作動。落雪防止用の平たいトタン屋根が高温を呼び込み、天井付近の温度は70度前後まで上昇した。

 この暑さの中、誤作動したのは火災報知器だけではない。8月7日、防衛省でも事務次官人事をめぐって火花が散り、非常ベルが鳴り響きました。小池百合子防衛相が、9月1日付で守屋武昌(たけまさ)事務次官を退任させる方針を固めたからだ。

 そしてこの日、民主党の反対を押し切ってアメリカへ飛び立った。ライス国務長官との親密さを演出し、実績をアピールするのが狙いだった。

 守屋次官は、確かに在任4年を超える異例の長さにあった。大臣が後任に選んだのは警察庁出身の西川官房長。情報漏洩体質からの脱却を目指すのが表の理由だ。

 裏には、沖縄問題、テロ特措法延長問題でどちらが主導権を握るのかの暗闘があった。小池大臣は、首相補佐官として安全保障問題で、また沖縄担当相として基地移設問題で守屋次官と対立してきた経緯がある。

 ところで、防衛事務次官のポストは長い間、警察と大蔵官僚に握られてきた。生え抜きはこれまで歴代25人中わずか5人。ここ2代は「生え抜き」が続いていた。

 守屋次官には、小泉政権の下で自衛隊のイラク派遣、在日米軍の再編や防衛省への昇格など難題に取り組んできた自負があった。警察官僚にポストを握られることだけは許せなかったといえる。

 守屋次官は猛反発。大臣の留守中に、塩崎官房長官や自民党国防族議員に白紙撤回を訴えた。事務次官人事は大臣が任命権を持つが、制度上は正副官房長官による人事検討会議に諮る必要があるからだ。

 帰国後、「15日に閣議決定を」と迫る小池大臣に対して、塩崎官房長官は「事前に相談がなく、手続きが非常識だ」と突っぱねた。小池大臣は安倍首相に直訴。

 ところが、安倍首相はそれどころではなかった。夏休みを返上して首相官邸と公邸にこもっていたのは、19日から25日にかけてインドネシア、インド、マレーシア訪問を予定しており、その前に27日の内閣改造人事の骨格を決めておかなければならなかったからだ。

 意志決定機関を複数つくりながら強力な行司役がいない、安倍内閣の欠陥が今回のゴタゴタを呼んだともいえる。結局、結論を先延ばしするしか方法がなかった。小池防衛相と塩崎官房長官、守屋事務次官。どちらを留任させるのか。あるいは、けんか両成敗にするのか。

 安倍首相の求心力の衰えが招いた事件ともいえる。政権の秋の訪れは、意外に早いかもしれない。
レギュラー出演者
森 啓次郎
森 啓次郎
「Asahiパソコン」「ぱそ」「週刊朝日」編集長を経て、現在、大学講師(メディア論)。