8/3(金)ニュースの視点No069
「戦後レジームの完成を!」
参院選で自民党が惨敗した。安倍首相は早々と続投宣言をし、延命を図って赤城農水相を辞任させた。消えた年金、閣僚の失言、不透明な事務所費問題。与党内からは、「お灸を据えられた」との反省が聞こえてくる。自民党支持者の票が今回だけ民主党に流れたと分析している。
しかし、本当に問われたのは安倍首相の言う「戦後レジームからの脱却」だったと思う。
「戦後レジーム」は「戦前レジームからの脱却」によって生まれた。家父長制による男女不平等、地主・小作人制度による封建的社会、軍国主義による戦争への道。「戦後レジーム」はその逆に、女性参政権に代表される男女平等、封建制からの脱却による自由、軍国主義から国を守るための戦争の放棄からなっている。
つまり、「戦後レジームからの脱却」とは「自由、平等、平和からの脱却」を意味している。事実、安倍政権がこれまで行ってきた施策を見ると、日本国憲法を改定するための国民投票法案の可決、集団的自衛権を行使するための研究会の設置、君が代・日の丸を押しつけ、愛国心を子どもたちに植え付けるための教育改革だ。
これに柳沢厚労相の「女性は産む機械」発言と久間前防衛相の「原爆しょうがない」発言が加わる。家父長制と戦争の容認だ。2人に辞任を迫れなかったのは考えが近かったからだ。
安倍首相の「美しい国」では、愛国心教育を受けた子どもたちが銃を持って行進している姿が目に浮かぶ。国民は「戦後レジームから脱却してはいけない」と感じて、1票を投じていたのではないだろうか。
ところで、北九州市では52歳の男性が餓死していた。地元福祉事務所は男性自らが「辞退届を出した」として生活保護を打ち切っていた。しかし、日記の最後には「おにぎりが食べたい」「働けないのに働けといわれた」と書いている。日本国憲法には、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と書かれている。この国はそれすらもまだ出来ていないのだ。
都会にはホームレスがあふれ、健康不安や生活苦などから年間3万人以上が自殺している。若者たちはニートとなり、あるいは派遣社員となって低所得で不安定な雇用に甘んじている。結婚も出来ずに出生率も低下している。また、地震国なのに災害対策が十分出来ていない。食料自給率も低く、輸入に頼るために食の安全が脅かされている。農村では大規模化が進められ、小さな農家が離農し始めている。都市集中による地方の疲弊も激しく起きている。これが日本の現実だ。
憲法が高く掲げた理想は、この国ではまだ一度も実現されていない。日本が目指す道は「戦後レジームからの脱却」ではなく、むしろ「戦後レジームの完成」ではないのか。安倍首相は抽象的で危険なロマンティズムに酔っている。
参院選で自民党が惨敗した。安倍首相は早々と続投宣言をし、延命を図って赤城農水相を辞任させた。消えた年金、閣僚の失言、不透明な事務所費問題。与党内からは、「お灸を据えられた」との反省が聞こえてくる。自民党支持者の票が今回だけ民主党に流れたと分析している。
しかし、本当に問われたのは安倍首相の言う「戦後レジームからの脱却」だったと思う。
「戦後レジーム」は「戦前レジームからの脱却」によって生まれた。家父長制による男女不平等、地主・小作人制度による封建的社会、軍国主義による戦争への道。「戦後レジーム」はその逆に、女性参政権に代表される男女平等、封建制からの脱却による自由、軍国主義から国を守るための戦争の放棄からなっている。
つまり、「戦後レジームからの脱却」とは「自由、平等、平和からの脱却」を意味している。事実、安倍政権がこれまで行ってきた施策を見ると、日本国憲法を改定するための国民投票法案の可決、集団的自衛権を行使するための研究会の設置、君が代・日の丸を押しつけ、愛国心を子どもたちに植え付けるための教育改革だ。
これに柳沢厚労相の「女性は産む機械」発言と久間前防衛相の「原爆しょうがない」発言が加わる。家父長制と戦争の容認だ。2人に辞任を迫れなかったのは考えが近かったからだ。
安倍首相の「美しい国」では、愛国心教育を受けた子どもたちが銃を持って行進している姿が目に浮かぶ。国民は「戦後レジームから脱却してはいけない」と感じて、1票を投じていたのではないだろうか。
ところで、北九州市では52歳の男性が餓死していた。地元福祉事務所は男性自らが「辞退届を出した」として生活保護を打ち切っていた。しかし、日記の最後には「おにぎりが食べたい」「働けないのに働けといわれた」と書いている。日本国憲法には、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と書かれている。この国はそれすらもまだ出来ていないのだ。
都会にはホームレスがあふれ、健康不安や生活苦などから年間3万人以上が自殺している。若者たちはニートとなり、あるいは派遣社員となって低所得で不安定な雇用に甘んじている。結婚も出来ずに出生率も低下している。また、地震国なのに災害対策が十分出来ていない。食料自給率も低く、輸入に頼るために食の安全が脅かされている。農村では大規模化が進められ、小さな農家が離農し始めている。都市集中による地方の疲弊も激しく起きている。これが日本の現実だ。
憲法が高く掲げた理想は、この国ではまだ一度も実現されていない。日本が目指す道は「戦後レジームからの脱却」ではなく、むしろ「戦後レジームの完成」ではないのか。安倍首相は抽象的で危険なロマンティズムに酔っている。
