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放送内容
森啓次郎エッセイ
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7/27(金)ニュースの視点 No068
「太陽光発電で脱原発!」


 刈羽(かりわ)原発の被害状況が徐々に明らかになってきた。6号機では原子炉の真上に設置されていた大型クレーンが破損していた。

 このクレーンは、原子炉格納容器のフタの開閉や燃料棒の出し入れなどに使われている。破損したのは鉄製の車軸部で、もし使用中に地震が起きていれば、燃料棒の落下や原子炉のフタを閉められずに大事故につながっていた恐れがあった。

 これで8月中旬に予定されていた炉心内部の調査が出来なくなった。燃料棒や制御棒、内部のパイプやポンプ類は大丈夫なのか、損傷の全容確認にはさらに時間がかかる。

 ところで、原発事故が起きるたびに、「日本の電力の30%は原子力発電に頼っている」という話が出る。言外には「だから止めることは出来ない」という意味が込められている。しかし、この数字は正確に言うと正しくない。火力や水力発電所を一部しか動かさなかったり、あるいは休止させたりして、原子力に依存する体質にわざわざ変えてきたからだ。

 ちょうど、休耕田を増やして食料自給率を下げ、外国からの輸入に頼っている農業政策と似ている。すべての火力発電所をフル稼働させれば、原発に頼らなくても日本の電気は間に合う。また一方で、「地球温暖化対策には原子力が有効」という宣伝文句もある。しかし、水力発電や太陽光発電の方が有効の上にもっと安全だ。

 私は各家庭の屋上に「太陽光発電」装置を設置すべきだと思っている。日常的に使用する電気を発電し、足りない分だけを電力会社からのライフラインに頼る方式にするべきだ。そうすれば原発分の電気は十分供給できる。電力各社がきちんとした調査もせずに活断層近くに次々と原発を建てた以上、危険な原発にはレッドカードを突きつけて退場してもらわなくてはならない。

 発想の転換が必要だ。どこか1カ所でエネルギーを作り、それを長いライフラインで各家庭に配る形をやめ、できるだけ個別にエネルギーを生み出すシステムの構築だ。ライフラインは長くなればなるほど災害やテロに弱くなるからだ。

 つまり、地震に強い都市とはライフラインに頼らない分節構造を持っている都市だ。しかし、現実の都会生活は電気と水道に頼り切っている。食品は冷蔵庫がないと保存できず、トイレは水がないと成り立たない。東京が大地震に襲われれば、復興にかかる時間は柏崎市の比ではない。

 1戸建ての家やマンションに、ライフラインが寸断されたときのための設備を用意しておく必要がある。少なくとも避難場所となる学校や公園などの公共施設には、太陽光発電装置と巨大な水タンクを設置しておかなくてはならない。

 地震のたびに電気が消え、水洗トイレが使えない悲劇が何度も繰り返されている。この国は本気で失敗から何かを学ぶ気はあるのだろうか。心配だ。
レギュラー出演者
森 啓次郎
森 啓次郎
「Asahiパソコン」「ぱそ」「週刊朝日」編集長を経て、現在、大学講師(メディア論)。