7/20(金)ニュースの視点 No067
「刈羽原発、危機一髪」
またも地震が原発を襲った。3月の能登半島地震に続く新潟県中越沖地震。震源からわずか9キロの所に東京電力・柏崎刈羽(かりわ)原発があった。
未知の断層が動いた。それも、その後の余震分布から刈羽原発の直下に活断層があることが分かった。建設時の耐震設定は直下型地震に対して最大マグニチュード6.5。今回のマグニチュードは6.8。揺れの強さは想定の2.5倍あった。原発を襲った過去最大級の地震となった。
公表された原発内のトラブルは53件。しかし、専門家はこれ以外にも被害が出ているのではないかと疑っている。例えば、空気中にヨウ素が放出されていることから、燃料棒が破損している可能性がある。また、配管にひびが入り冷却水漏れを起こしている危険性もある。
当時、現場はかなり混乱していたと思われる。敷地内の土地は大きく陥没し、地下に埋められたパイプ類が破損した。そのため、3号機の変圧器で起きた火災では職員ら4人が消火に当たったが、ホースからは水が出ず、結局、119番せざるを得なかった。
しかし、大地震では消防車は一切期待できない。まず、電話がつながらない。通信網の混乱、出動要請の殺到が考えられる。もしつながったとしても消防車が出払っている可能性がある。例え出動できたとしても、停電で信号機が消えた道路は大渋滞が起きているかもしれない。いかに消防車といえども容易にたどり着けない。結局、火災は2時間後に消し止められたが、かなり幸運だったともいえる。
また、ほかの変圧器も損傷を受けている。原子炉本体に比べて耐震基準が低いからだ。原発を陰で支えている電気系統が止まると、思わぬ大事故につながる。心臓を動かしている血管が詰まる心筋梗塞のようなものだ。
今回、揺れを感知して原子炉は自動停止した。しかし、停止イコール安全ではない。核分裂は抑えられるが、熱がつねに発生しているからだ。
ところで、原子力発電は放っておくと暴走する核分裂をゆっくりと起こす装置だ。制御するブレーキは3つ。制御棒と水と電気だ。中性子を吸収して核分裂を抑える制御棒、発生する熱を下げる水、それらの動力としての電気だ。
沸騰水型と呼ばれる初期の原発では、制御棒の上げ下げにも水圧が使われている。つまり、停電や漏水によって水の循環ができなくなると原発は制御不能に陥る。
今回、非常用のディーゼル発電機室にも一部異常が見られた。原子炉が発電を止め、外からの電源も落ち、非常用電源も動かなくなる危険性もあった。
発表とは違って、刈羽原発は危機一髪の状態だったのではないか。大事故は想定していない事態が偶然重なった時に起きる。
もしその時、制御棒の落下事故が起きていたら、とんでもない事態になっていたはずだ。
またも地震が原発を襲った。3月の能登半島地震に続く新潟県中越沖地震。震源からわずか9キロの所に東京電力・柏崎刈羽(かりわ)原発があった。
未知の断層が動いた。それも、その後の余震分布から刈羽原発の直下に活断層があることが分かった。建設時の耐震設定は直下型地震に対して最大マグニチュード6.5。今回のマグニチュードは6.8。揺れの強さは想定の2.5倍あった。原発を襲った過去最大級の地震となった。
公表された原発内のトラブルは53件。しかし、専門家はこれ以外にも被害が出ているのではないかと疑っている。例えば、空気中にヨウ素が放出されていることから、燃料棒が破損している可能性がある。また、配管にひびが入り冷却水漏れを起こしている危険性もある。
当時、現場はかなり混乱していたと思われる。敷地内の土地は大きく陥没し、地下に埋められたパイプ類が破損した。そのため、3号機の変圧器で起きた火災では職員ら4人が消火に当たったが、ホースからは水が出ず、結局、119番せざるを得なかった。
しかし、大地震では消防車は一切期待できない。まず、電話がつながらない。通信網の混乱、出動要請の殺到が考えられる。もしつながったとしても消防車が出払っている可能性がある。例え出動できたとしても、停電で信号機が消えた道路は大渋滞が起きているかもしれない。いかに消防車といえども容易にたどり着けない。結局、火災は2時間後に消し止められたが、かなり幸運だったともいえる。
また、ほかの変圧器も損傷を受けている。原子炉本体に比べて耐震基準が低いからだ。原発を陰で支えている電気系統が止まると、思わぬ大事故につながる。心臓を動かしている血管が詰まる心筋梗塞のようなものだ。
今回、揺れを感知して原子炉は自動停止した。しかし、停止イコール安全ではない。核分裂は抑えられるが、熱がつねに発生しているからだ。
ところで、原子力発電は放っておくと暴走する核分裂をゆっくりと起こす装置だ。制御するブレーキは3つ。制御棒と水と電気だ。中性子を吸収して核分裂を抑える制御棒、発生する熱を下げる水、それらの動力としての電気だ。
沸騰水型と呼ばれる初期の原発では、制御棒の上げ下げにも水圧が使われている。つまり、停電や漏水によって水の循環ができなくなると原発は制御不能に陥る。
今回、非常用のディーゼル発電機室にも一部異常が見られた。原子炉が発電を止め、外からの電源も落ち、非常用電源も動かなくなる危険性もあった。
発表とは違って、刈羽原発は危機一髪の状態だったのではないか。大事故は想定していない事態が偶然重なった時に起きる。
もしその時、制御棒の落下事故が起きていたら、とんでもない事態になっていたはずだ。
