6/29(金) ニュースの視点 No064
「牛肉もどきも見抜けない」
ミートホープ社による食肉偽装事件は大きな広がりを見せている。当初、7,8年前からとされていた偽装開始は、すでに24年前まで遡っている。
田中稔社長は「昔の肉屋の感覚を引きずっていた」と釈明したが、ミート社設立以前に勤めていた別の食肉会社時代から偽装に手を染めていた疑いが出ている。
偽装の手口は大きく分けると3種類。他の肉を細かくひいて混入させる方法、外国産を国産にする産地偽装、それに賞味期限の改ざんだ。
代表的なのが、牛ミンチに豚、ニワトリ、カモ、羊などを混ぜる「牛肉もどき」の製造だ。さらに増量のためにパンくずや水を注入する。豚ミンチの発色を良くするために牛の心臓を混入したり、味を良くするために化学調味料を大量に入れたりもしていた。
悪質なのは、中国で鳥インフルエンザが起きたときに暴落したカモ肉を通常の10分の1以下の値段で大量に仕入れ、牛ミンチにしていた点だ。さらに、偽装が見破られると、「従業員の手違いで起きた」として賠償保険金を請求していた。回収した商品は廃棄せずに関連会社を通じて、また売りさばいていた。
ところで、今回の偽装は元幹部からの内部告発を受けて、朝日新聞記者が市販されていた「牛肉コロッケ」を購入し、DNA検査して発覚したものだ。検査費用はわずか数千円。業界に悪い噂が流れていたにもかかわらず、なぜ取引をしていた大手企業はこんな簡単な検査をしてこなかったのだろうか。
まずはミンチを受け取ってコロッケを製造していた「加ト吉」。食肉のプロである工場長にとって偽装を見抜くことはむずかしくはなかったはずだ。しかし、工場長は廃棄処分にすべきコロッケを引き取ってもらうことで裏金を作っていた。「ミートホープ社に抱き込まれていた」と考える方が自然だ。
問題は、自社製品として作らせていた味の素、明治乳業などの大手食品会社にもある。中でも生協の責任は重いといえる。
生協は「くらしと健康を守り、安心して消費できるものを」という理念の下に生まれた。しかも、独自の「商品検査センター」を持っている。検査官70人の民間最大級の検査施設だ。今回はその機能が働かず、2003年3月以来、問題の「牛肉コロッケ」を255万個も販売してしまった。
もちろん、告発が何度も寄せられたのにもかかわらず全く機能しなかった農水省のお粗末さは論外としか言いようがない。雪印乳業の偽装牛肉事件、不二家の期限切れ原材料事件などを受け、食品の安全について厳しい対応を取っていたはずだったからだ。社会保険庁のたるみと、いい勝負といえるかもしれない。
問題が起きてからしか動けない組織はもう要らない。DNA検査施設を持ち、抜き打ち検査、立ち入り調査が行える機動性に富んだ組織。そんな食品Gメンたちの活躍を見たいと思う。
ミートホープ社による食肉偽装事件は大きな広がりを見せている。当初、7,8年前からとされていた偽装開始は、すでに24年前まで遡っている。
田中稔社長は「昔の肉屋の感覚を引きずっていた」と釈明したが、ミート社設立以前に勤めていた別の食肉会社時代から偽装に手を染めていた疑いが出ている。
偽装の手口は大きく分けると3種類。他の肉を細かくひいて混入させる方法、外国産を国産にする産地偽装、それに賞味期限の改ざんだ。
代表的なのが、牛ミンチに豚、ニワトリ、カモ、羊などを混ぜる「牛肉もどき」の製造だ。さらに増量のためにパンくずや水を注入する。豚ミンチの発色を良くするために牛の心臓を混入したり、味を良くするために化学調味料を大量に入れたりもしていた。
悪質なのは、中国で鳥インフルエンザが起きたときに暴落したカモ肉を通常の10分の1以下の値段で大量に仕入れ、牛ミンチにしていた点だ。さらに、偽装が見破られると、「従業員の手違いで起きた」として賠償保険金を請求していた。回収した商品は廃棄せずに関連会社を通じて、また売りさばいていた。
ところで、今回の偽装は元幹部からの内部告発を受けて、朝日新聞記者が市販されていた「牛肉コロッケ」を購入し、DNA検査して発覚したものだ。検査費用はわずか数千円。業界に悪い噂が流れていたにもかかわらず、なぜ取引をしていた大手企業はこんな簡単な検査をしてこなかったのだろうか。
まずはミンチを受け取ってコロッケを製造していた「加ト吉」。食肉のプロである工場長にとって偽装を見抜くことはむずかしくはなかったはずだ。しかし、工場長は廃棄処分にすべきコロッケを引き取ってもらうことで裏金を作っていた。「ミートホープ社に抱き込まれていた」と考える方が自然だ。
問題は、自社製品として作らせていた味の素、明治乳業などの大手食品会社にもある。中でも生協の責任は重いといえる。
生協は「くらしと健康を守り、安心して消費できるものを」という理念の下に生まれた。しかも、独自の「商品検査センター」を持っている。検査官70人の民間最大級の検査施設だ。今回はその機能が働かず、2003年3月以来、問題の「牛肉コロッケ」を255万個も販売してしまった。
もちろん、告発が何度も寄せられたのにもかかわらず全く機能しなかった農水省のお粗末さは論外としか言いようがない。雪印乳業の偽装牛肉事件、不二家の期限切れ原材料事件などを受け、食品の安全について厳しい対応を取っていたはずだったからだ。社会保険庁のたるみと、いい勝負といえるかもしれない。
問題が起きてからしか動けない組織はもう要らない。DNA検査施設を持ち、抜き打ち検査、立ち入り調査が行える機動性に富んだ組織。そんな食品Gメンたちの活躍を見たいと思う。
