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森啓次郎エッセイ
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6/22(金)ニュースの視点 No063
「朝鮮総連――『打出の小槌』が壊れた」

 東京地裁は、在日朝鮮人総連合会(朝鮮総連)に対して、整理回収機構に627億円を返済するよう命じた。判決には仮執行がついているため、判決確定前でも財産を差し押さえ、競売にかけることが出来る。

 差し押さえ対象の一つ、朝鮮総連中央本部の土地・建物をめぐって不可解な動きがあった。登場人物は6人。売り手側が、朝鮮総連の最高実力者・許宋萬(ホ・ジョンマン)副議長、代理人の元日本弁護士連合会会長の土屋公献弁護士。取引の仲介役となったのは元不動産会社社長。買い手側が元公安調査庁長官の緒方重威(しげたけ)弁護士、資金調達役の元信託銀行員、それに資金を出すとされた投資家だ。

 買い手の「ハーベスト投資顧問」は、総連側の意を受けて元社長と元信託銀行員とが、今年4月に立ち上げた。緒方元長官が社長に就任したのはそのあとで、つまり、「投資顧問会社」といっても中央本部の土地建物を買う目的のためだけに作られた会社といえる。この時、すでに4億8000万円の金が総連から元社長に流れている。緒方弁護士の貸し金庫には元社長からの1億円が保管されている。

 さらに土屋弁護士によれば、35億円で売却し5年後に38億5000万円で買い戻す話がついていたという。結局、この取引はご破算になったが、初めから「差し押さえを防ぐための仮装売買、虚偽の所有権移転」だった疑いが濃くなっている。

 ところで、地方本部、学校など29施設のうち9施設が、すでに差し押さえや仮差し押さえを受けている。しかし、これらの競売をめぐっても不可解な動きが頻発している。

 例えば愛知県本部では、落札した不動産会社が期限までにお金を納めず、競売は「白紙」に戻された。大阪府本部では、土地・建物を所有する総連系企業が競売直前に自己破産したために、競売が回避されている。

 狙いは、競売の先延ばしと思われる。先延ばしの先にあるのが、日朝国交正常化ではないのか。日本からの経済援助は数百億円とも1兆円規模とも憶測されている。結局、この金の一部があてにされている可能性がある。

 ところで、朝鮮総連は1955年、「祖国統一と在日朝鮮人の権利擁護」を掲げて結成された。しかしその後、本国へ資金を送り続ける「打出の小槌(こづち)」の役割を担わされるようになって、大きく変化した。

 30万人とも言われていた構成員は減少を続けている。寄付や献金が減ったために、土地建物を担保に朝銀信用組合に不正融資をさせ、焦げ付かせた。その結果、16の信組が経営破綻に陥った。

 「打出の小槌」が壊れて、1兆3000億円もの公的資金が投入された。
レギュラー出演者
森 啓次郎
森 啓次郎
「Asahiパソコン」「ぱそ」「週刊朝日」編集長を経て、現在、大学講師(メディア論)。