4/27(金) ニュースの視点 No055
「核の交付金を拒絶した東洋町」
高知県の小さな町で町長の辞職に伴う出直し選挙が行われた。総人口3408人のポンカンと漁業の町・東洋町。人口が減少し65歳以上の人が38%も占める典型的な地方の町だ。
争われたのはただ1点。原子力発電所から出る「高レベル放射性廃棄物」の最終処分場を誘致するかどうかだった。国は2002年から受け入れてくれる自治体を公募していた。東洋町は今年1月、全国で初めてこの公募に正式に応じた。
2006年の町の予算は約20億円。借金が32億円もあった。もし処分場受け入れを表明すれば、最初の文献調査が行われる2年間に国から年10億円ずつの計20億円、次のボーリング調査に進めば、4年間で総額70億円が交付されることになっていた。その半分以上が町に入る仕組みだ。
高齢化と過疎が進む町にとって巨額な金と莫大な建設費、その後の雇用創出は魅力的すぎた。田嶋裕起(たしま・やすおき)前町長は昨年3月、NPO法人の理事を名乗る人物から働きかけられ、密かに自分の一存で応募書類を提出していた。いったん書類は返却されたが、この事実が暴露され町議会によって辞職勧告決議案が可決された。
町長は辞意を表明し出直し選挙に打って出た。「交付金で給食の無料化、子育て支援、災害に強い町づくり」を訴えた。
対抗馬は町長の独断専行を暴いた前室戸市議の沢山保太郎(さわやま・やすたろう)氏。「クリーンなふるさとを守ろう」をスローガンに「交付金の誘惑に負けてはいけない」と訴えた。
投票率は89.26%。当日有権者数2934人のうち前町長の得票は761票、沢山氏は1821票。反対派の圧勝に終わった。26日、原子力発電環境整備機構から応募の撤回が認められた。
ところで、原発で燃やした使用済み核燃料を硝酸で溶かしプルトニウムと燃え残りのウランを取り出すと、放射能を帯びた液状の廃棄物が残る。これをガラスと一緒に固めて棒状にしたものが「高レベル放射性廃棄物」だ。地下300メートル以上の深さに埋めて、あとは放っておくという無謀な計画だ。
現在までにたまっている使用済み核燃料を再処理すると約2万本分になる。これが毎年約1500本分ずつ増えている。30年から50年ほど再処理施設で冷却した後、地下に埋められるが、100万年も埋めておかなければならない。
地震で貯蔵施設が破壊されることはないのか、地下水への汚染は大丈夫なのか。安全性に疑問がある。
巨額の交付金で釣って財政の苦しい地方の町を誘惑する原子力行政。埋める場所が決まらないまま、危険な「核のゴミ」が日本に貯まっていく。
高知県の小さな町で町長の辞職に伴う出直し選挙が行われた。総人口3408人のポンカンと漁業の町・東洋町。人口が減少し65歳以上の人が38%も占める典型的な地方の町だ。
争われたのはただ1点。原子力発電所から出る「高レベル放射性廃棄物」の最終処分場を誘致するかどうかだった。国は2002年から受け入れてくれる自治体を公募していた。東洋町は今年1月、全国で初めてこの公募に正式に応じた。
2006年の町の予算は約20億円。借金が32億円もあった。もし処分場受け入れを表明すれば、最初の文献調査が行われる2年間に国から年10億円ずつの計20億円、次のボーリング調査に進めば、4年間で総額70億円が交付されることになっていた。その半分以上が町に入る仕組みだ。
高齢化と過疎が進む町にとって巨額な金と莫大な建設費、その後の雇用創出は魅力的すぎた。田嶋裕起(たしま・やすおき)前町長は昨年3月、NPO法人の理事を名乗る人物から働きかけられ、密かに自分の一存で応募書類を提出していた。いったん書類は返却されたが、この事実が暴露され町議会によって辞職勧告決議案が可決された。
町長は辞意を表明し出直し選挙に打って出た。「交付金で給食の無料化、子育て支援、災害に強い町づくり」を訴えた。
対抗馬は町長の独断専行を暴いた前室戸市議の沢山保太郎(さわやま・やすたろう)氏。「クリーンなふるさとを守ろう」をスローガンに「交付金の誘惑に負けてはいけない」と訴えた。
投票率は89.26%。当日有権者数2934人のうち前町長の得票は761票、沢山氏は1821票。反対派の圧勝に終わった。26日、原子力発電環境整備機構から応募の撤回が認められた。
ところで、原発で燃やした使用済み核燃料を硝酸で溶かしプルトニウムと燃え残りのウランを取り出すと、放射能を帯びた液状の廃棄物が残る。これをガラスと一緒に固めて棒状にしたものが「高レベル放射性廃棄物」だ。地下300メートル以上の深さに埋めて、あとは放っておくという無謀な計画だ。
現在までにたまっている使用済み核燃料を再処理すると約2万本分になる。これが毎年約1500本分ずつ増えている。30年から50年ほど再処理施設で冷却した後、地下に埋められるが、100万年も埋めておかなければならない。
地震で貯蔵施設が破壊されることはないのか、地下水への汚染は大丈夫なのか。安全性に疑問がある。
巨額の交付金で釣って財政の苦しい地方の町を誘惑する原子力行政。埋める場所が決まらないまま、危険な「核のゴミ」が日本に貯まっていく。
