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放送内容
森啓次郎エッセイ
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3/30(金) ニュースの視点 No051
「想定外の地震で揺れる原発」

 能登半島でマグニチュード6.9の強い地震があった。震源に近い輪島市では震度6強の揺れが起き、多くの建物が崩壊した。余震は今も続いている。

 今回の地震は原子力発電所近くで起きた過去最大級の地震だった。震源からわずか17キロのところに北陸電力の志賀(しか)原発があった。

 地震が起きたのは3月25日。ちょうど1年前の前日、24日には金沢地方裁判所が、志賀原発2号機の運転差し止めを命じる判決を出していた。

 「差し止め理由」として、「綿密な調査によっても活断層が見つからなかったからといって、原子炉の直下にマグニチュード6.5を超える地震の活断層が存在しないと断ずる合理的な根拠があるとは認めがたい」と述べていた。
 
 1978年に定められた原子炉の「耐震設計審査指針」によると、活断層が認められない地域では直下型地震に対してマグニチュード6.5を満たせばいいとされていた。図らずも、地裁判決の正しさが証明されたといえる。未知の活断層が震源だった可能性が高いからだ。

 これまで日本の巨大地震は太平洋側で起きるとされてきた。太平洋プレートやフィリピン海プレートが日本列島の下にもぐり込み、そのひずみが地震のエネルギーを生むと考えられてきたからだ。

 しかし、最近の地震は西日本や日本海側に集中している。2000年の鳥取県西部地震、2004年の新潟県中越地震、2005年の福岡県西方沖地震。

 太平洋プレートが沈み込むときに日本列島を北西方向に押す。その一方で、日本海側からもそれを押しとどめようとする逆方向の力が加わる。その結果、日本海側の沿岸地域に活断層が出来る。これらの多くは海の中に隠れているために発見しにくいのが特徴だ。

 日本海側にはたくさんの原発がある。東京電力の柏崎刈羽(かりわ)原発、関西電力・美浜原発、中国電力・島根原発、九州電力・玄海原発などだ。

 幸いなことに、志賀原発では2基とも運転を停止していたために大きな被害は起きなかった。それでも1号機では、配管のモルタルがはがれ水銀灯7つが落下。使用済み燃料用の貯蔵プールから放射能を帯びた水約45リットルが飛び散った。

 しかし、もし運転中に直下型地震が襲った場合、予想外の出来事が起きる可能性があった。揺れで制御棒が一斉に落下したり、ボルトがゆるんで原子炉内の水が抜けたり、たとえ炉心は被害を免れたとしても、冷却水のパイプが壊れたり、あるいは電源が落ちてポンプ類が作動しなくなったりする危険性もある。

 2重、3重の安全装置がすべて働かなくなった場合でも、原発は安全を保つことができるのだろうか。
想定外のことをあえて想定して、検証しておく必要があると思う。
レギュラー出演者
森 啓次郎
森 啓次郎
「Asahiパソコン」「ぱそ」「週刊朝日」編集長を経て、現在、大学講師(メディア論)。