3/23(金)ニュースの視点 No050
「隠蔽が臨界を招いた」
原子力発電所で制御棒の落下事故が起きていた。88年7月、東北電力・女川(おながわ)原発1号機。91年5月、中部電力・浜岡原発3号機。93年6月、東京電力福島第2原発3号機、99年6月、北陸電力・志賀(しか)原発1号機。いずれも沸騰水型と呼ばれる原子炉で起きた。
運転中の商業用原発は55基ある。うち32基が沸騰水型だ。改良型の4基を除くと、事故基と同じ原子炉は全国に28ある。
沸騰水型原子炉は比較的単純な構造で出来ている。核分裂の熱を利用して水蒸気をつくり、直接、発電用タービンを回す。原子炉上部が沸騰しているために制御棒を下から差し込む形になっている。
ここに構造的欠点がある。制御棒は長さ約4.5メートル、重さ数百キロあり、それを下から支えなければならない点だ。支えを失うと自然落下して抜け落ちてしまう。
制御棒は水圧で上下させる。棒の下には15センチ刻みの溝が25カ所あり、持ち上げるとツメが溝に引っかかり、落下を防ぐようになっている。ちょうど、ブラインドの留め金と似た仕組みだ。
事故はいずれも定期点検中に起きた。制御棒を押し上げる水圧の弁が閉じられていたために、本来ならば外れるはずのないツメが上からの高い水圧によって外れてしまった。ブラインドを力任せに強引におろしたようなものだ。
制御棒は原子炉運転のブレーキだ。中性子を吸収して核分裂を抑える役目を果たしている。ところが、志賀原発では隣接する制御棒が3本まとめて抜け落ちた。核分裂が連続して起こり、原子炉の制御が利かなくなる臨界事故が起きた。
中央制御室では緊急停止を促す警報音が12回鳴り響いた。緊急停止装置は窒素ガスを噴出して制御棒を押し上げ、炉心に挿入するようになっているが、ガスは充填されていなかった。また、弁が閉じられていたために水圧でも持ち上げることが出来なかった。
ブレーキが壊れた車は暴走する。原子炉も同じだ。制御棒という「通常ブレーキ」と緊急挿入装置という「緊急ブレーキ」の両方とも機能しなかった。
15分間にわたって臨界状態が続いた。警報音は中央制御室でしか鳴らず、現場の作業員には伝えられなかった。原子炉の上蓋を開けたまま作業していたため、被爆の危険もあった。
事故は業務日誌に書かれなかった。発電所長自らが隠蔽工作に関わっていたからだ。内部告発で明るみに出た。もし、最初の事故が公表され情報が共有されていたならば、それ以後の事故は防げた可能性が高いといえる。
他にも報告されていない落下事故が多数起きていた可能性がある。
原子力発電所で制御棒の落下事故が起きていた。88年7月、東北電力・女川(おながわ)原発1号機。91年5月、中部電力・浜岡原発3号機。93年6月、東京電力福島第2原発3号機、99年6月、北陸電力・志賀(しか)原発1号機。いずれも沸騰水型と呼ばれる原子炉で起きた。
運転中の商業用原発は55基ある。うち32基が沸騰水型だ。改良型の4基を除くと、事故基と同じ原子炉は全国に28ある。
沸騰水型原子炉は比較的単純な構造で出来ている。核分裂の熱を利用して水蒸気をつくり、直接、発電用タービンを回す。原子炉上部が沸騰しているために制御棒を下から差し込む形になっている。
ここに構造的欠点がある。制御棒は長さ約4.5メートル、重さ数百キロあり、それを下から支えなければならない点だ。支えを失うと自然落下して抜け落ちてしまう。
制御棒は水圧で上下させる。棒の下には15センチ刻みの溝が25カ所あり、持ち上げるとツメが溝に引っかかり、落下を防ぐようになっている。ちょうど、ブラインドの留め金と似た仕組みだ。
事故はいずれも定期点検中に起きた。制御棒を押し上げる水圧の弁が閉じられていたために、本来ならば外れるはずのないツメが上からの高い水圧によって外れてしまった。ブラインドを力任せに強引におろしたようなものだ。
制御棒は原子炉運転のブレーキだ。中性子を吸収して核分裂を抑える役目を果たしている。ところが、志賀原発では隣接する制御棒が3本まとめて抜け落ちた。核分裂が連続して起こり、原子炉の制御が利かなくなる臨界事故が起きた。
中央制御室では緊急停止を促す警報音が12回鳴り響いた。緊急停止装置は窒素ガスを噴出して制御棒を押し上げ、炉心に挿入するようになっているが、ガスは充填されていなかった。また、弁が閉じられていたために水圧でも持ち上げることが出来なかった。
ブレーキが壊れた車は暴走する。原子炉も同じだ。制御棒という「通常ブレーキ」と緊急挿入装置という「緊急ブレーキ」の両方とも機能しなかった。
15分間にわたって臨界状態が続いた。警報音は中央制御室でしか鳴らず、現場の作業員には伝えられなかった。原子炉の上蓋を開けたまま作業していたため、被爆の危険もあった。
事故は業務日誌に書かれなかった。発電所長自らが隠蔽工作に関わっていたからだ。内部告発で明るみに出た。もし、最初の事故が公表され情報が共有されていたならば、それ以後の事故は防げた可能性が高いといえる。
他にも報告されていない落下事故が多数起きていた可能性がある。
