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視点
放送内容
森啓次郎エッセイ
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12/22(金)ニュースの視点No038
「命の問題に秘策はない」

今年の漢字に「命」が決まった。幼児虐待、いじめ自殺、下校時を狙った小学生殺害事件・・・。多くの幼い命が失われた。その一方で、新しい生命の誕生が予想もしなかった新たな問題を提起したこともある。夫の死後、凍結精子を使って誕生した子ども、第3者による代理出産で誕生した子ども。夫婦の子どもとして法的に認められるかが争われた。この1年、この番組で取り上げた「命」の問題を振り返る。

●10月6日放送「これは自殺じゃない。他殺だ」より。
「6年生宛の遺書にはこう書かれていた。―――6年生のことを考えていると『大嫌い』とか『最てい』と言う言葉がうかびます。みんなは私のことがきらいでしたか? きもちわるかったですか? 私は、みんなに冷たくされているような気がしました。それは、とても悲しくて苦しくて、たえられませんでした。―――明らかにいじめに対しての抗議の意思が読み取れる。しかし、学校も市の教育委員会も、その事実をなかなか認めようとしなかった」「『いじめはなかった』という生徒の言葉をそのまま信じてしまう教師や学校、教育委員会。事実を見抜けない、あるいは事実を認めたがらない体質こそが、『いじめ』を助長させていったといえる」

●11月17日放送「いじめが起きたら公開模擬裁判を」より。
「埼玉県本庄市と大阪府富田林(とんだばやし)市で中学生・男女2人の自殺が起きた」「2つの自殺に共通しているのは、教師に相談しても何も解決しないというむなしさだ。学校がアンケートを採っても、いじめの事実が出てこないのは当然だといえる」「私は、クラスで起きたことはクラスで、学校で起きたことは学校で、生徒自身が解決すべきだと思っている。周りの大人はそれを積極的にサポートする役目を負うべきだ。一つの方法として『いじめ』の公開模擬裁判を行うことを提案する。生徒自身が裁判長、弁護士を引き受け、証人も登場させる」

●10月20日放送「法的成熟目指せ、代理出産」より。
「日本では10組に1組の夫婦に子どもが生まれていない。それが生物学的自然といえる。しかし、その自然を生殖技術の進歩が作り替えようとしている。ドイツ、フランスでは禁止、スペイン、オランダでは認められている。アメリカは州によって対応が違う。日本ではまだ法律ができていない。代理出産問題は単に『子どもが欲しい』といった感情論や、『少子化問題』といった的外れな議論の中で解決すべきではないと思っている。やや大げさに言えば人類にとって子孫を残す意味とは何か、という観点から法的成熟を目指すべきだと思う」

「視点」では、なるべく解決方法を提言するよう心がけた。それも即効性のある方策を掲げたつもりだ。たとえ、いじめ自殺を100%救えるものでなくても、10人中6人の子どもたちを救えるのなら実行に移すべきだと思っている。根本的解決には時間がかかります。「命」の問題に秘策はありません。
レギュラー出演者
森 啓次郎
森 啓次郎
「Asahiパソコン」「ぱそ」「週刊朝日」編集長を経て、現在、大学講師(メディア論)。