12/1(金)ニュースの視点 No035
「トロが食卓から消える!?」
安いトロが食卓から消えるかもしれない。クロアチアのドブロブニクで開かれていた「大西洋マグロ類保存国際委員会」は、地中海を含む大西洋の漁獲量を2割削減することを決めた。
対象になるのは最高級魚「クロマグロ」。いわゆる「本マグロ」だ。今年の総漁獲枠は3万2000トン。これを少しずつ減らしていき、2010年には2万5500トンにする。しかし、アメリカ、カナダ、ノルウェーなどは「資源維持のためには、1万5000トンまで減らす必要がある」と主張していた。2割減で決着したのは、現状維持を主張するイタリア、フランスなど多くのヨーロッパ諸国が反対に回ったためだ。
2003年の統計によると、全世界のマグロ消費量は219万トン。ここ30年あまりで2倍以上に増えている。BSEの影響や健康志向から魚が注目されるようになったことが背景にある。ロシアの元スパイ・リトビネンコ氏がポロニウムを盛られた疑惑の場所の一つが、ロンドンの寿司店だったのは象徴的ともいえる。
ところで、日本人は世界のマグロの4分の1を食べている。比較的冷たい海域に棲み、それゆえトロが多い「ミナミマグロ」と「クロマグロ」に関しては独占状態といえる。インド洋やオーストラリア周辺の海に生息する「ミナミマグロ」の実に90%、太平洋、大西洋を回遊する「クロマグロ」の約60%が日本で消費されている。とくにこの2種類が今、資源不足に陥っている。さらに、赤道海域に広く生息し赤身がおいしく値段も手頃な「メバチ」も、約60%が日本に集中している。
しかし、日本が大量にマグロを輸入するようになったのは最近のことだ。1974年に5万トンだった輸入量が、バブルを超えて6倍の30万トンにまで膨れあがった。それに伴い輸入量が漁獲量を上回った。ヨーロッパ諸国の反対は、高く買ってくれる日本の存在があったからだともいえる。
マグロは非常に養殖しにくい魚だ。スーパーのラベルに「養殖」と書かれているのは、実は「畜養」(ちくよう)ものだ。漁獲したマグロを生け簀の中で育て、大きくしてから出荷する。大西洋地区から運ばれてくるクロマグロの80%はこの「畜養もの」だ。「養殖」と言っても元は「天然物」なので獲りすぎれば当然、資源は枯渇していく。
しかし、「畜養」のおかげで、比較的安く大トロや中トロが食べられるようになった。1990年代にオーストラリアで始まり2000年以降は地中海にも広がった。そのほとんどを日本が輸入している。
ところが、「畜養」は海上で取引が行われ、そのまま生け簀に放たれるため、漁獲量をカウントしにくいという問題点がある。大西洋では、実際には5万トン近くが乱獲されているのではないかと見られている。
資源保護と利潤追求の間で、マグロだけに各国の「ツナ引き」が繰り広げられている。
安いトロが食卓から消えるかもしれない。クロアチアのドブロブニクで開かれていた「大西洋マグロ類保存国際委員会」は、地中海を含む大西洋の漁獲量を2割削減することを決めた。
対象になるのは最高級魚「クロマグロ」。いわゆる「本マグロ」だ。今年の総漁獲枠は3万2000トン。これを少しずつ減らしていき、2010年には2万5500トンにする。しかし、アメリカ、カナダ、ノルウェーなどは「資源維持のためには、1万5000トンまで減らす必要がある」と主張していた。2割減で決着したのは、現状維持を主張するイタリア、フランスなど多くのヨーロッパ諸国が反対に回ったためだ。
2003年の統計によると、全世界のマグロ消費量は219万トン。ここ30年あまりで2倍以上に増えている。BSEの影響や健康志向から魚が注目されるようになったことが背景にある。ロシアの元スパイ・リトビネンコ氏がポロニウムを盛られた疑惑の場所の一つが、ロンドンの寿司店だったのは象徴的ともいえる。
ところで、日本人は世界のマグロの4分の1を食べている。比較的冷たい海域に棲み、それゆえトロが多い「ミナミマグロ」と「クロマグロ」に関しては独占状態といえる。インド洋やオーストラリア周辺の海に生息する「ミナミマグロ」の実に90%、太平洋、大西洋を回遊する「クロマグロ」の約60%が日本で消費されている。とくにこの2種類が今、資源不足に陥っている。さらに、赤道海域に広く生息し赤身がおいしく値段も手頃な「メバチ」も、約60%が日本に集中している。
しかし、日本が大量にマグロを輸入するようになったのは最近のことだ。1974年に5万トンだった輸入量が、バブルを超えて6倍の30万トンにまで膨れあがった。それに伴い輸入量が漁獲量を上回った。ヨーロッパ諸国の反対は、高く買ってくれる日本の存在があったからだともいえる。
マグロは非常に養殖しにくい魚だ。スーパーのラベルに「養殖」と書かれているのは、実は「畜養」(ちくよう)ものだ。漁獲したマグロを生け簀の中で育て、大きくしてから出荷する。大西洋地区から運ばれてくるクロマグロの80%はこの「畜養もの」だ。「養殖」と言っても元は「天然物」なので獲りすぎれば当然、資源は枯渇していく。
しかし、「畜養」のおかげで、比較的安く大トロや中トロが食べられるようになった。1990年代にオーストラリアで始まり2000年以降は地中海にも広がった。そのほとんどを日本が輸入している。
ところが、「畜養」は海上で取引が行われ、そのまま生け簀に放たれるため、漁獲量をカウントしにくいという問題点がある。大西洋では、実際には5万トン近くが乱獲されているのではないかと見られている。
資源保護と利潤追求の間で、マグロだけに各国の「ツナ引き」が繰り広げられている。
