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放送内容
森啓次郎エッセイ
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10/13(金) ニュースの視点No028
「イランとの連携作戦」


北朝鮮が核実験をおこなった。10月の第2月曜日、9日はアメリカでは「コロンバスデー」に当たっていた。1492年、コロンブスがアメリカ大陸を発見したことを記念する日だった。

もちろんこの日は、金正日(キム・ジョンイル)総書記の就任9周年にあたる8日と、労働党創建記念日の10日にはさまれていた。安倍総理の中韓訪問と重なったのは、準備期間を考えるとむしろ偶然と思われる。

爆発の規模は意外に小さなものだった。韓国の推定ではTNT火薬で0.8キロトン以上、アメリカ国防省も0.5キロトンからせいぜい1キロトン程度とみている。核実験を監視しているウイーンのCTBT(包括的核実験禁止条約)の機関準備委員会でも、1.5キロトンと想定している。広島に落とされた原爆の15キロトンと比較すると、10分の1から30分の1の規模だった。

北朝鮮は、直前に中国に対して「4キロトン規模になる」と通知していたので、計画よりもかなり小さかったことになる。一部専門家は通常火薬で核爆発を装ったのではないか、あるいは核分裂が連鎖的にうまく進まず失敗したのではないかとみている。小型核爆弾をいきなり成功させるのは「至難のわざ」だからだ。

ところで、核実験は各国の思惑のスキを突いて行われた。日中、日韓は靖国や領海を巡ってギクシャクし、日ロ間にも北方領土問題がつねに立ちふさがり、共同歩調が取りにくい状況にあった。アメリカはアフガン、イラクに軍事力を釘付けにされ、石油という資源的メリットもない北朝鮮に対しては注視していなかった。

そんな中、北朝鮮はイランとの結びつきを強めていた。1980年から8年間にわたって行われたイラン・イラク戦争で、イランが使った短距離弾道ミサイル「スカッド」は北朝鮮から購入したものだ。その後、独自開発したとされる中距離弾道ミサイル「シャハブ3」は北朝鮮の「ノドン」の技術を応用したとされている。
7月の長距離ミサイル「テポドン2号」の発射現場にも、イラン関係者が立ち会っていたといわれる。9月15日、キューバのハバナで行われた非同盟諸国会議に出席したイランのアフマディネジャド大統領は、北朝鮮の金永南(キム・ヨンナム)最高人民会議常任委員長と会談している。その際、「核開発の全面支持」を互いに確認しあっている。

国連安保理のイラン制裁論議のさなかに今回の核実験が行われたことは、何よりも両国の緊密な連携を物語っている。

ところで、国際的には「核不拡散条約」や「包括的核実験禁止条約」がある。しかし、これらは常任理事国である5カ国の核独占を保障するためにあるともいえる。北朝鮮やイランに対して説得力を持つためには、同時に核保有国に対しても核廃棄を促さなくてはならない。
レギュラー出演者
森 啓次郎
森 啓次郎
「Asahiパソコン」「ぱそ」「週刊朝日」編集長を経て、現在、大学講師(メディア論)。