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森啓次郎エッセイ
森啓次郎エッセイ
7/18(金)
お〜い、他県は大丈夫か!

 ベランダでキュウリを育てている。風が吹くとどこかに飛んでいってしまいそうだった芽は、このところの暑さのお陰でどんどん大きくなり、高さが20センチを超えるほどに生長した。葉っぱも幅15センチ近くになった。

 右隣には「アイコ」という名のミニトマト。こちらはまだあまり大きくなっていない。左隣にはルッコラ。種が小さかったので、ついプランターにばらまきしてしまったために、今や雑草のように生い茂っている。時々採ってはパスタやサラダの上にぱらつかせて食べている。

 食料高騰が目に余って、ならば自分で作れる物は作ろうと思い立ったのだ。キュウリは作った経験があった。水さえあげていれば、毎日のように収穫できた。採って食べれば、また育つ。なる順番が決まっているらしく、次々と育っていく。毎朝、1本ずつ食べていた気がする。

 漁船がガソリン高騰で休漁するニュースを聞いて種類を増やした。ほうれん草、ベビーレタス、万能小ネギも蒔いた。前からあるブルーベリーを加えると、これで7種類の食べ物が育っていることになる。収穫が始まれば、少しは家計を助けることになる、はずだ。

 野菜作りで悩ましいのは、芽が出て葉が2〜3枚出たところで間引かなくてはならない点だ。「丈夫そうなのを残して、他を引き抜いてください」とある。せっかく育っているのを強引に引き抜いてしまうのは何となく命を奪うようで心苦しかった。しかし、これをやらないと葉は大きくならない。すべてが小さいままだと、おそらく実もならないのだろう。

 はっきり優劣がつけられるのなら、割合心苦しくなく抜けるが、同じような背丈だとどちらを抜けばいいのか迷う。初めのうちは抜いた方を、ペットボトルを半分に切って作った臨時のプランターに移して育ててみたが、やはり引き抜くときに根に傷が付くのか、育ち方が劣ることに気づいた。最近では、無情に捨てられるようになった。

 同じように育つ複数の植物から、実を育てさせる1本を選ぶのはむずかしい作業だ。人間の場合は、もっと大変だ。その人の人生を左右するからだ。そのため、公平をきすために私情を入れずに点数で評価するのが一般的だ。民間会社の場合は、点数だけでは怖いので面接試験も行う。人柄を見るためだ。

 ところが、公務員試験の場合は、面接をすると不正が入り込む恐れがあるために、点数評価が何よりも優先される。しかしまさか、その点数自体に人為的かさ上げや引き下げが横行しているとは夢にも思わなかった。

 大分県の教員採用試験での不正は、今に始まったことではない。何十年も続いていたことが容易に想像できる。07年度、08年度の採用試験で不正合格が疑われている合格者は40人。これは全採用人数の約半数にあたる。つまり、もし、これまでも同じようなことが繰り返されてきたとすると、今、大分県の教員全体の約半数は不正合格者ということになる。口利きをうまく図ってあげると「出世すると思った」と証言する県教委関係者がいたことから考えると、不正が不正を呼び、その不正がさらに大きな不正を生む構造が形作られてきた。

 新聞には「不正採用教員『解雇』へ」の勇ましい見出しが躍った。不正によって落とされた多くの人たちの無念を考えると当然の措置だ。しかし、どこまで遡ってその根を絶てるのか暗澹たる思いになる。

 お〜い、他県は大丈夫か!

雑然と蒔いてしまったルッコラ.JPG
雑然と蒔いてしまったルッコラ。
つまんで食べると、小さくてもルッコラの味がする。

キュウリ。9本を、間引いて3本にした。.JPG
キュウリ。9本を、間引いて3本にした。
レギュラー出演者
森 啓次郎
森 啓次郎
「Asahiパソコン」「ぱそ」「週刊朝日」編集長を経て、現在、大学講師(メディア論)。