5/30(金)
埋め立て地マンション・バラバラ殺人事件
極めて単純な事件だった。帰宅した女性を隣人が襲い、自宅に連れ込みバラバラにして捨てた。「防犯カメラの死角」「現代の神隠し」などと、あれほど騒いでいたTVのワイドショーも拍子抜けしたのか、突然扱いが小さくなった。
警察に110番が入ったのは4月18日の午後9時15分。帰宅した姉が先に帰っているはずの妹の姿が見えず、玄関の壁に血痕が付着し、妹のピアスが落ちているのに気づいて通報した。着替えなどもされておらず、そのままの格好で消えたことがわかった。靴は玄関に脱ぎ捨てられ、買い物袋も置かれていたことから、帰宅直後に後ろから来た何者かに襲われ、もみ合って連れ去られた可能性が高いことが推理できた。果物ナイフが1本なくなっていた。
犯人は待ち伏せしていたか、後をつけて部屋までやってきたかだ。しかし、帰宅したときの防犯カメラには怪しい人物は映っていなかったし、ストーカーらしき人物につけ回されていたという話もなかった。待ち伏せ出来るのは、東城さんの日常的行動を把握して、帰宅時間を正確に特定できた人物である。
自宅のすぐそばで子ども(米山豪憲君)が忽然と消えて死体で発見された秋田県の事件。犯人は隣に住む女性(畠山鈴香被告)だった。自宅の目の前、ないし自宅内で起きた事件で、まず疑わなければならないのは、隣人か顔見知りによる犯行である。
警察が、犯人の星島貴徳容疑者と接触したのは、午後10時ごろ。事件発生から2時間半後である。玄関先で話している。この時点で被害者の東城瑠璃香さんは、部屋の中に横たわっていたはずだ。2回目に接触したのはそれから4、5時間後の19日午前2〜3時ごろだ。この時も玄関先だけで話をして帰っている。警察官が何らかの異常(血の臭いや血痕)に感づかなかったことから考えると、まだそのままの状態だったと思われる。この時点でなぜ警察は内部を見せてもらおうとはしなかったのか。
近所の人の話では、このマンションは月10万円と立地が不便な割には家賃が高く、百数十ある部屋の3分の1は未入居で、とくに最上階は容疑者と被害者の2世帯しか住んでいなかったという。
結局、警察が容疑者の部屋の中に上がり込んだのは、事件から20時間ほどたった19日の午後だ。すでに室内はきれいになっており、なんら異常を発見できなかった。つまり、容疑者は警察が帰った19日の午前3時から朝方にかけて遺体の処理を行ったと考えられる。壮絶な光景だったに違いない。
容疑者がTVカメラの前でインタビューに応じたのは、すべてが完了したその日の午後3時ごろである。おそらく一睡もせずに作業を続けたのだろう。雄弁だった。
初動捜査のミスである。隣人が怪しいと思いながらもためらった感がある。なぜ、その後の張り込み、尾行をしなかったのだろうか。もし、尾行していれば周辺のマンションなどに捨てたゴミ袋から確たる証拠が発見できたはずだ。バラバラにされるなどとは思い至らなかったに違いない。冷静かつ科学的に推理すれば、もっと早く犯人に行き着いたはずだ。
「神隠し」は、過去も現在もあり得ない。誰かが拉致し、連れ去ったに過ぎない。
ところで、埋め立て地に林立する新しいマンションは、ゴミ捨てが簡単・便利である。現場近くには夢の島があり、清掃工場がある。下水処理センターもある。24時間開いている大型ショッピングセンターもある。すぐ横には運河もある。
同じバラバラ事件が起きたお台場には、処理工場に直結したゴミ気送管がある。24時間、ガラス・金属以外は何でもいつでも捨てられる。ゴミ捨て事情が、バラバラ事件を生んでいる。

現場となったマンション。最上階の右隅の部屋で惨劇が行われた。

廊下側(東側)は京葉線が走る。遠くに倉庫があるだけで人目につかない。

マンションは運河に囲まれている。左奧は夢の島、右は辰巳の森海浜公園。
極めて単純な事件だった。帰宅した女性を隣人が襲い、自宅に連れ込みバラバラにして捨てた。「防犯カメラの死角」「現代の神隠し」などと、あれほど騒いでいたTVのワイドショーも拍子抜けしたのか、突然扱いが小さくなった。
警察に110番が入ったのは4月18日の午後9時15分。帰宅した姉が先に帰っているはずの妹の姿が見えず、玄関の壁に血痕が付着し、妹のピアスが落ちているのに気づいて通報した。着替えなどもされておらず、そのままの格好で消えたことがわかった。靴は玄関に脱ぎ捨てられ、買い物袋も置かれていたことから、帰宅直後に後ろから来た何者かに襲われ、もみ合って連れ去られた可能性が高いことが推理できた。果物ナイフが1本なくなっていた。
犯人は待ち伏せしていたか、後をつけて部屋までやってきたかだ。しかし、帰宅したときの防犯カメラには怪しい人物は映っていなかったし、ストーカーらしき人物につけ回されていたという話もなかった。待ち伏せ出来るのは、東城さんの日常的行動を把握して、帰宅時間を正確に特定できた人物である。
自宅のすぐそばで子ども(米山豪憲君)が忽然と消えて死体で発見された秋田県の事件。犯人は隣に住む女性(畠山鈴香被告)だった。自宅の目の前、ないし自宅内で起きた事件で、まず疑わなければならないのは、隣人か顔見知りによる犯行である。
警察が、犯人の星島貴徳容疑者と接触したのは、午後10時ごろ。事件発生から2時間半後である。玄関先で話している。この時点で被害者の東城瑠璃香さんは、部屋の中に横たわっていたはずだ。2回目に接触したのはそれから4、5時間後の19日午前2〜3時ごろだ。この時も玄関先だけで話をして帰っている。警察官が何らかの異常(血の臭いや血痕)に感づかなかったことから考えると、まだそのままの状態だったと思われる。この時点でなぜ警察は内部を見せてもらおうとはしなかったのか。
近所の人の話では、このマンションは月10万円と立地が不便な割には家賃が高く、百数十ある部屋の3分の1は未入居で、とくに最上階は容疑者と被害者の2世帯しか住んでいなかったという。
結局、警察が容疑者の部屋の中に上がり込んだのは、事件から20時間ほどたった19日の午後だ。すでに室内はきれいになっており、なんら異常を発見できなかった。つまり、容疑者は警察が帰った19日の午前3時から朝方にかけて遺体の処理を行ったと考えられる。壮絶な光景だったに違いない。
容疑者がTVカメラの前でインタビューに応じたのは、すべてが完了したその日の午後3時ごろである。おそらく一睡もせずに作業を続けたのだろう。雄弁だった。
初動捜査のミスである。隣人が怪しいと思いながらもためらった感がある。なぜ、その後の張り込み、尾行をしなかったのだろうか。もし、尾行していれば周辺のマンションなどに捨てたゴミ袋から確たる証拠が発見できたはずだ。バラバラにされるなどとは思い至らなかったに違いない。冷静かつ科学的に推理すれば、もっと早く犯人に行き着いたはずだ。
「神隠し」は、過去も現在もあり得ない。誰かが拉致し、連れ去ったに過ぎない。
ところで、埋め立て地に林立する新しいマンションは、ゴミ捨てが簡単・便利である。現場近くには夢の島があり、清掃工場がある。下水処理センターもある。24時間開いている大型ショッピングセンターもある。すぐ横には運河もある。
同じバラバラ事件が起きたお台場には、処理工場に直結したゴミ気送管がある。24時間、ガラス・金属以外は何でもいつでも捨てられる。ゴミ捨て事情が、バラバラ事件を生んでいる。
現場となったマンション。最上階の右隅の部屋で惨劇が行われた。
廊下側(東側)は京葉線が走る。遠くに倉庫があるだけで人目につかない。
マンションは運河に囲まれている。左奧は夢の島、右は辰巳の森海浜公園。
