11/30(金)
「ゴルフと感覚マヒ」
ゴルフとはよほど面白いものらしい。8年間で300回以上。毎月3回以上行っていた計算になる。防衛省の守屋武昌・前次官(夫妻)が、軍需専門商社の「山田洋行」幹部から受けた接待である。
うち12回は泊まりがけで、北海道から九州までゴルフ旅行をおこなっていた。飛行機代、宿泊代、プレー代、食事代など丸抱えで、夫妻も偽名を使っていたことから、賄賂性の認識があったといえる。この際、当時の地元防衛庁関係者がゴルフ場や宿泊施設の手配に動員されたという。
私はゴルフをしない。一度もクラブを握ったことがない。この歳でゴルフをやったことがない人は珍しいらしく、クラス会などに出席すると、「今度、みんなでゴルフに行こう」という話に必ずなる。
しないと決めたのは、上空から日本列島を見たからである。1977年だったと思う。「科学朝日」の編集部員時代、北海道の有珠山が噴火した。その時、特集を組むために全国の噴火の危険のある山々を上空から写真に撮った。日本列島を小型ジェット機で低空飛行したのだ。助手席横の窓が開けられ、写真が撮れるようになっていた。その時、覗いた下界の様子は驚くべきものだった。埼玉県や千葉県の山々に、巨大なハゲタカが爪で引っ掻いたような傷跡がつけられていたからだ。ゴルフコースを造成していたのである。
その傷跡は、年々増えていった。80年代後半までの10年間、日本列島にはゴルフ場建設の嵐が吹き荒れた。成田から飛ぶたびに眼下を見ると、ゴルフ場が次々出来ていった。それに伴って様々な社会問題が吹き出してきた。
会員300人限定、などと謳っていたゴルフ場が実際には1000人以上の会員を募っていたこと。ために週末のゴルフ場は予約が取れなくなっていた。余分の会員権で集められた金は、地元政治家に流れた。開発業者が政治家の兄弟姉妹だった例もあった。
環境問題も起きた。雑草対策に大量の農薬が使われ、水源を汚染した。冬の凍結防止に大量の塩が撒かれたこともある。
やがて、バブルがはじける。上空からみると、傷跡が茶色いまま残された。今でも「ゴルフ」と聞くと、あの茶色い傷跡が目に浮かぶ。
余談になるが、とくに千葉県は激しく破壊された。ゴルフ場建設ばかりではない。例えば、東京の建設ラッシュを支えるために採石場と化した。石を運ぶためにダンプ街道ができた。交通事故が多発し、子どもたちが犠牲になった。あまりに多く削ったために山は平らになり、重しが取れて土地が隆起したほどだ。掘られた穴の後には産業廃棄物が詰め込まれた。それらが建設残土などで覆われて山となり、「平成新山」が出来上がった。
そして、都会もんのレジャーのために緑が切り倒された。なのに東京からは「だ埼玉、ど千葉」などと蔑みの言葉が投げかけられている。
ところで、守屋前次官の妻も「身分なき共犯」の容疑で逮捕された。しょぼくれた夫に比べると、肌のつやもいい。妻は「友人からもらったもの」と賄賂性を否定しているという。高級ブランドバッグも、過剰なゴルフ接待も、高級クラブでの飲食代も、もらって当然と思っているらしい。結婚する前は「防衛庁事務次官の秘書」だった。だから「先輩」として夫を「坊や」扱いしていたという。接待を日常的に見ていると、感覚がマヒしてしまうのだろうか。
ゴルフとはよほど面白いものらしい。8年間で300回以上。毎月3回以上行っていた計算になる。防衛省の守屋武昌・前次官(夫妻)が、軍需専門商社の「山田洋行」幹部から受けた接待である。
うち12回は泊まりがけで、北海道から九州までゴルフ旅行をおこなっていた。飛行機代、宿泊代、プレー代、食事代など丸抱えで、夫妻も偽名を使っていたことから、賄賂性の認識があったといえる。この際、当時の地元防衛庁関係者がゴルフ場や宿泊施設の手配に動員されたという。
私はゴルフをしない。一度もクラブを握ったことがない。この歳でゴルフをやったことがない人は珍しいらしく、クラス会などに出席すると、「今度、みんなでゴルフに行こう」という話に必ずなる。
しないと決めたのは、上空から日本列島を見たからである。1977年だったと思う。「科学朝日」の編集部員時代、北海道の有珠山が噴火した。その時、特集を組むために全国の噴火の危険のある山々を上空から写真に撮った。日本列島を小型ジェット機で低空飛行したのだ。助手席横の窓が開けられ、写真が撮れるようになっていた。その時、覗いた下界の様子は驚くべきものだった。埼玉県や千葉県の山々に、巨大なハゲタカが爪で引っ掻いたような傷跡がつけられていたからだ。ゴルフコースを造成していたのである。
その傷跡は、年々増えていった。80年代後半までの10年間、日本列島にはゴルフ場建設の嵐が吹き荒れた。成田から飛ぶたびに眼下を見ると、ゴルフ場が次々出来ていった。それに伴って様々な社会問題が吹き出してきた。
会員300人限定、などと謳っていたゴルフ場が実際には1000人以上の会員を募っていたこと。ために週末のゴルフ場は予約が取れなくなっていた。余分の会員権で集められた金は、地元政治家に流れた。開発業者が政治家の兄弟姉妹だった例もあった。
環境問題も起きた。雑草対策に大量の農薬が使われ、水源を汚染した。冬の凍結防止に大量の塩が撒かれたこともある。
やがて、バブルがはじける。上空からみると、傷跡が茶色いまま残された。今でも「ゴルフ」と聞くと、あの茶色い傷跡が目に浮かぶ。
余談になるが、とくに千葉県は激しく破壊された。ゴルフ場建設ばかりではない。例えば、東京の建設ラッシュを支えるために採石場と化した。石を運ぶためにダンプ街道ができた。交通事故が多発し、子どもたちが犠牲になった。あまりに多く削ったために山は平らになり、重しが取れて土地が隆起したほどだ。掘られた穴の後には産業廃棄物が詰め込まれた。それらが建設残土などで覆われて山となり、「平成新山」が出来上がった。
そして、都会もんのレジャーのために緑が切り倒された。なのに東京からは「だ埼玉、ど千葉」などと蔑みの言葉が投げかけられている。
ところで、守屋前次官の妻も「身分なき共犯」の容疑で逮捕された。しょぼくれた夫に比べると、肌のつやもいい。妻は「友人からもらったもの」と賄賂性を否定しているという。高級ブランドバッグも、過剰なゴルフ接待も、高級クラブでの飲食代も、もらって当然と思っているらしい。結婚する前は「防衛庁事務次官の秘書」だった。だから「先輩」として夫を「坊や」扱いしていたという。接待を日常的に見ていると、感覚がマヒしてしまうのだろうか。
