11/2(金)
「カルティエとブラッド・ルビー」
パリの高級ブランド「カルティエ」が、ミャンマー産のルビーやサファイアを買わないことに決めた。供給業者にもミャンマー産の原石ではないことを確認するよう求めたという。軍事政権がおこなった民主化運動に対する弾圧に反応したためである。
宝石は、ある種「幻想の塊」である。つねに高貴なイメージを纏っていなければならない。これは昔、作家の開高健氏に聞いた話だが、水色に輝くブラジルのアクアマリンは、子どもたちのおはじきに使われていたという。ところが、ある日、イギリスのエリザベス女王がパーティの席に着けてきて話題になり、宝石になってしまった・・・。
地中から掘り出されたタダ同然の石に、高価な値をつけるためには、デモ隊弾圧による「血塗られた」イメージは致命的となる。赤いルビーが実は血の色だったと思われては、誰も高い金で買わなくなるからだ。
似たような話が前にもあった。「ブラッド・ダイヤモンド」(血塗られたダイヤ)である。「紛争ダイヤ」とも呼ばれる。
世界のダイヤモンド原石の85%は、ベルギーのアントワープに集まる。原石卸の最大手デビアス社が、アフリカのシエラレオネ産のダイヤモンドを取り扱わないと宣言したことがあった。
デビアス社は、南アフリカ共和国を中心に、ボツワナやナミビアなどアフリカ諸国のダイヤを独占的に取り扱ってきた。独占することで価格を高く維持してきた。「ダイヤモンドは永遠に」は、デビアス社の有名なキャッチコピーである。映画「007」にも使われた。男性諸君のトラウマにもなった「婚約指輪は給料の3カ月分」もデビアス社のコピー戦略だ。
ダイヤ取引はユダヤ系企業の独占状態だった。アントワープでもそうだが、ニューヨークのダイヤモンド通りでも、黒い帽子に黒い上下、黒い髭のユダヤ人が闊歩している。しかし、最近は、カナダやロシア、オーストラリアで次々と新しいダイヤ鉱山が見つかり、「清浄な地で生まれたダイヤモンド」を売りにし始めた。世界のダイヤ市場の9割を押さえていたデビアス社は、今や4割強に激減した。
シエラレオネでは、ダイヤの利権をめぐって政府と反政府ゲリラが内線を繰り広げ、村から5〜10歳くらいの子どもを拉致してきては、ジャングルの中で少年兵に仕立て上げた。麻薬を体に擦り込み、意識朦朧とさせた中で銃を乱射させた。少年兵たちは村々を襲い、住民たちの手首や腕、足を切り落とした。
シエラレオネのダイヤは良質で、透明感に優れ、地表近くから産出した。スコップで少し掘り、ザルで洗えば出てくる。しかし、それらのダイヤは武器に変えられた。その武器でまた、多くの血が流れた。シエラレオネだけではない。コンゴでもアンゴラでも「血塗られたダイヤモンド」が存在した。
人権擁護団体が警鐘を鳴らし、ニューヨーク・ポスト紙は、「ニューヨークの5番街で買ったダイヤモンドのネックレスは、残虐なグループの資金源になっているかもしれない」と書いた。シエラレオネを舞台に、レオナルド・ディカプリオ主演の「ブラッド・ダイヤモンド」という映画も公開された。
世界に流通する「ブラッド・ダイヤモンド」は全体のわずか4%と言われる。それでも、幻想が崩れて輝きを失えば、ただの石に戻ってしまう。それは巨大資金源を失うことに直結する。
パリの高級ブランド「カルティエ」が、ミャンマー産のルビーやサファイアを買わないことに決めた。供給業者にもミャンマー産の原石ではないことを確認するよう求めたという。軍事政権がおこなった民主化運動に対する弾圧に反応したためである。
宝石は、ある種「幻想の塊」である。つねに高貴なイメージを纏っていなければならない。これは昔、作家の開高健氏に聞いた話だが、水色に輝くブラジルのアクアマリンは、子どもたちのおはじきに使われていたという。ところが、ある日、イギリスのエリザベス女王がパーティの席に着けてきて話題になり、宝石になってしまった・・・。
地中から掘り出されたタダ同然の石に、高価な値をつけるためには、デモ隊弾圧による「血塗られた」イメージは致命的となる。赤いルビーが実は血の色だったと思われては、誰も高い金で買わなくなるからだ。
似たような話が前にもあった。「ブラッド・ダイヤモンド」(血塗られたダイヤ)である。「紛争ダイヤ」とも呼ばれる。
世界のダイヤモンド原石の85%は、ベルギーのアントワープに集まる。原石卸の最大手デビアス社が、アフリカのシエラレオネ産のダイヤモンドを取り扱わないと宣言したことがあった。
デビアス社は、南アフリカ共和国を中心に、ボツワナやナミビアなどアフリカ諸国のダイヤを独占的に取り扱ってきた。独占することで価格を高く維持してきた。「ダイヤモンドは永遠に」は、デビアス社の有名なキャッチコピーである。映画「007」にも使われた。男性諸君のトラウマにもなった「婚約指輪は給料の3カ月分」もデビアス社のコピー戦略だ。
ダイヤ取引はユダヤ系企業の独占状態だった。アントワープでもそうだが、ニューヨークのダイヤモンド通りでも、黒い帽子に黒い上下、黒い髭のユダヤ人が闊歩している。しかし、最近は、カナダやロシア、オーストラリアで次々と新しいダイヤ鉱山が見つかり、「清浄な地で生まれたダイヤモンド」を売りにし始めた。世界のダイヤ市場の9割を押さえていたデビアス社は、今や4割強に激減した。
シエラレオネでは、ダイヤの利権をめぐって政府と反政府ゲリラが内線を繰り広げ、村から5〜10歳くらいの子どもを拉致してきては、ジャングルの中で少年兵に仕立て上げた。麻薬を体に擦り込み、意識朦朧とさせた中で銃を乱射させた。少年兵たちは村々を襲い、住民たちの手首や腕、足を切り落とした。
シエラレオネのダイヤは良質で、透明感に優れ、地表近くから産出した。スコップで少し掘り、ザルで洗えば出てくる。しかし、それらのダイヤは武器に変えられた。その武器でまた、多くの血が流れた。シエラレオネだけではない。コンゴでもアンゴラでも「血塗られたダイヤモンド」が存在した。
人権擁護団体が警鐘を鳴らし、ニューヨーク・ポスト紙は、「ニューヨークの5番街で買ったダイヤモンドのネックレスは、残虐なグループの資金源になっているかもしれない」と書いた。シエラレオネを舞台に、レオナルド・ディカプリオ主演の「ブラッド・ダイヤモンド」という映画も公開された。
世界に流通する「ブラッド・ダイヤモンド」は全体のわずか4%と言われる。それでも、幻想が崩れて輝きを失えば、ただの石に戻ってしまう。それは巨大資金源を失うことに直結する。
