4/27(金)
「成年後見制度の盲点」
92歳になる伯母が認知症になって、特別養護老人ホームに入所した。父が生まれ育った田舎の家に一人で住んでいた。父の兄弟姉妹たちは伯母一人を除いて全員、東京や大阪に移り住んでいる。
お見舞いに訪れたところ、「ホーム」の担当者から「成年後見人」(せいねんこうけんにん)を立ててほしいと頼まれた。若干の貯金があり、その管理をお願いしたいということらしい。4等親以内の親族からの申し立てがいる。
にわか勉強したところによると、「成年後見制度」は2000年4月1日にスタートした新しい制度だ。認知症や知的障害、精神障害などによって判断能力が低下した人を守る制度だ。本人がよく分からずに結んでしまったリフォーム契約などを、本人にとって不利益と判断すれば、取り消すことが出来る権限が後見人には与えられている。
家庭裁判所によって選ばれ、年に1度、裁判所に対して財産目録、収支目録、職務報告書の提出が求められている。そのため、親族が近くに住んでいないときなどは、司法書士や弁護士など法律に明るい人が選ばれる傾向にある。
成年後見人の権力は絶大で、財産に関するすべての法律行為を行うことができる。ただし、本人が亡くなった場合は、成年後見人から相続人に相続財産の引き渡しが行われて、仕事は終わる。
法律に明るい人に任せるべきか、親戚の誰かがかかわるべきか、悩んでいた。そんな時、この事件が起きた。
94歳の女性が「成年後見制度」を悪用され詐欺にあった。選任した後見人に、所有するアパートを売却され、その代金の一部2000万円を出資金名目でだまし取られた。さらに、逮捕容疑以外にも預金通帳からかなりの資産が抜き取られていた疑いがある。
財産を守るべき人が、財産を盗んだ。後見人制度の根幹を揺るがしかねない事件といえる。
しかし、報道を注意して読むと、逮捕された元行政書士は、被害女性との間に「任意後見契約」を結んでいたとある。「任意後見人」は、「成年後見制度」の一つだが、本人が十分な判断能力があるうちに、将来、判断能力がなくなるときに備えてあらかじめ自分で選んでおく制度だ。つまり、自己責任で選んだ「後見人」ということになる。
女性が認知症になった時は、「任意後見人」を監督する「任意監督後見人」を家庭裁判所に選任してもらわなければならない。「任意後見人」は、この「任意監督後見人」に職務を定期的に報告しなければならない。話が少しややこしいが、一応安全弁がついている。
問題は、この女性が、「任意後見人」の契約とともに「任意代理契約」を結んでいた点にある。「任意代理契約」とは本人にまだ判断能力が十分備わっているときに、「財産管理」を任せてしまう契約だ。この契約を結んでしまうと、日常生活に必要な預貯金の出し入れだけでなく、不動産売買なども出来てしまう。
その盲点が専門家から指摘されていた。代理権の行使範囲を日常生活の範囲内に限定的にすべきだという意見だ。しかし、法務省は「本人に判断能力があり、その本人が頼んだ後見人が何をしようが、本人の責任」との見解だ。
しかし、現実は、言葉巧みに接近してきた悪意を見抜くのは、一人暮らしの高齢者にはむずかしい。高齢化社会を迎える前に法整備を見直す必要がある。
似たケースはおそらくまだたくさんある。
92歳になる伯母が認知症になって、特別養護老人ホームに入所した。父が生まれ育った田舎の家に一人で住んでいた。父の兄弟姉妹たちは伯母一人を除いて全員、東京や大阪に移り住んでいる。
お見舞いに訪れたところ、「ホーム」の担当者から「成年後見人」(せいねんこうけんにん)を立ててほしいと頼まれた。若干の貯金があり、その管理をお願いしたいということらしい。4等親以内の親族からの申し立てがいる。
にわか勉強したところによると、「成年後見制度」は2000年4月1日にスタートした新しい制度だ。認知症や知的障害、精神障害などによって判断能力が低下した人を守る制度だ。本人がよく分からずに結んでしまったリフォーム契約などを、本人にとって不利益と判断すれば、取り消すことが出来る権限が後見人には与えられている。
家庭裁判所によって選ばれ、年に1度、裁判所に対して財産目録、収支目録、職務報告書の提出が求められている。そのため、親族が近くに住んでいないときなどは、司法書士や弁護士など法律に明るい人が選ばれる傾向にある。
成年後見人の権力は絶大で、財産に関するすべての法律行為を行うことができる。ただし、本人が亡くなった場合は、成年後見人から相続人に相続財産の引き渡しが行われて、仕事は終わる。
法律に明るい人に任せるべきか、親戚の誰かがかかわるべきか、悩んでいた。そんな時、この事件が起きた。
94歳の女性が「成年後見制度」を悪用され詐欺にあった。選任した後見人に、所有するアパートを売却され、その代金の一部2000万円を出資金名目でだまし取られた。さらに、逮捕容疑以外にも預金通帳からかなりの資産が抜き取られていた疑いがある。
財産を守るべき人が、財産を盗んだ。後見人制度の根幹を揺るがしかねない事件といえる。
しかし、報道を注意して読むと、逮捕された元行政書士は、被害女性との間に「任意後見契約」を結んでいたとある。「任意後見人」は、「成年後見制度」の一つだが、本人が十分な判断能力があるうちに、将来、判断能力がなくなるときに備えてあらかじめ自分で選んでおく制度だ。つまり、自己責任で選んだ「後見人」ということになる。
女性が認知症になった時は、「任意後見人」を監督する「任意監督後見人」を家庭裁判所に選任してもらわなければならない。「任意後見人」は、この「任意監督後見人」に職務を定期的に報告しなければならない。話が少しややこしいが、一応安全弁がついている。
問題は、この女性が、「任意後見人」の契約とともに「任意代理契約」を結んでいた点にある。「任意代理契約」とは本人にまだ判断能力が十分備わっているときに、「財産管理」を任せてしまう契約だ。この契約を結んでしまうと、日常生活に必要な預貯金の出し入れだけでなく、不動産売買なども出来てしまう。
その盲点が専門家から指摘されていた。代理権の行使範囲を日常生活の範囲内に限定的にすべきだという意見だ。しかし、法務省は「本人に判断能力があり、その本人が頼んだ後見人が何をしようが、本人の責任」との見解だ。
しかし、現実は、言葉巧みに接近してきた悪意を見抜くのは、一人暮らしの高齢者にはむずかしい。高齢化社会を迎える前に法整備を見直す必要がある。
似たケースはおそらくまだたくさんある。
