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森啓次郎エッセイ
森啓次郎エッセイ
3/9(金)
都知事選とバベルの塔

 民主党は情けない政党である。4月8日に投票が行われる統一地方選に独自候補者を出せずにいる。今回は13の都道府県で知事選が戦われるが、そのうちの5カ所でしか推薦・支援をおこなっていない。

 しかも、自民党、民主党が正式に推薦した候補者同士が対決するのは、北海道と岩手県しかない。これに、自民党が支援して、民主党が推薦する、「一応対決型」の福岡県を加えても、3カ所に過ぎない。残りの東京都、神奈川県では「支援型対決」でしかない。

 確か小沢代表は「相乗り禁止」「独自候補擁立」を掲げたのではなかったのか。福井県、三重県では自民党と相乗りし、奈良県、鳥取県、島根県、徳島県、佐賀県、大分県では候補者自体を出せずにいる。
民主党は自分たちの「政党力」を信じていない政党かもしれない。「勝てるタマがいない」などと嘆く前に、無名の新人を立てて、選挙戦を勝つことこそが政党の力を計れるとは思わないのだろうか。

 地元には、無名ながら地方自治に力を尽くしたいと思っている人がたくさんいる。学校の先生だったり、大学の先生だったり、ジャーナリストだったり、公務員だったり、会社員だったりする。学生かもしれない。「勝てない」と思い込む前に、なぜそういう人たちを捜し出して戦おうとしないのか。なぜ有権者に選択権を与えないのだろうか。

 都知事選でも、初めはジャーナリストの鳥越俊太郎さんとニュースキャスターの筑紫哲也さんに話を持って行ったという。二人に断られて迷走した。民主党内の候補者にも断られて、浅野史郎・前宮城県知事に辿り着いた。そりゃー浅野さんだって、経緯を知っているわけだから一応断るだろう。参院選が思いやられる。

 ところで、話はがらりと変わるが、石原都知事は本当に東京オリンピックを持って来られると信じているのだろうか。あと一期知事でいたいがための「バベルの塔」に思えてならない。臨海副都心をオリンピック話にかこつけて整備したいための口実に聞こえてならない。
2008年には北京オリンピックがあり、2014年には韓国の平昌(ピォンチャン)で冬季オリンピックが開催される可能性が高い。2012年こそロンドンだが、同じ東アジアにオリンピックが回ってくる可能性は常識的に言ってかなり低い。
 
 4月14日、アメリカではロサンゼルスかシカゴのどちらかが候補地に決まる。すでに名乗りを上げている、あるいは上げそうな都市は、ヨーロッパではローマ、マドリード、南米ではリオデジャネイロ、ブエノスアイレス、アジアではドーハがある。オリンピック未開催のアフリカが立候補してくる可能性もある。
来年、IOC(国際オリンピック委員会)理事会が開かれて5都市に絞られる。再来年(2009年)の10月2日にデンマークのコペンハーゲンで開かれるIOC総会で開催地が決定する。

 おそらくはその前に、築50年経つ国立競技場の建て替え論議が起きて、同じ場所にするのか、晴海にするのかが争われることになる。そして、オリンピックが招致出来ても出来なくても、都が強ければ国立競技場が晴海に出来、都が弱ければ都立競技場が晴海に出来る。
バベルの塔が崩れて、中から競技場が一つ出てくる。
レギュラー出演者
森 啓次郎
森 啓次郎
「Asahiパソコン」「ぱそ」「週刊朝日」編集長を経て、現在、大学講師(メディア論)。