朝日グループのニュースチャンネル
文字サイズ 大 標準
朝日ニュースターとは視聴方法よくある質問サイトマップHOME
週間番組表月間番組表番組一覧プレゼントご意見・ご感想メールマガジン
視点
放送内容
森啓次郎エッセイ
森啓次郎エッセイ
10/20(金)
「ひ孫が祖母を産む!?」

 還暦を迎える女性が孫を産んだというショッキングなニュースが伝わってきた。女性ホルモンを注入して妊娠可能にしたという。生殖技術がどんどん進歩しているので、これまで考えられなかったようなことが起きている。現在行われている人工生殖の方法を整理してみた。

(1)男性(夫)に精子が少ない場合―――精子を取り出し、優良な精子だけを濃縮させて女性(妻)の子宮に入れる。

(2)男性(夫)に精子がない場合―――同じ血液型の男性から精子の提供を受けて、女性(妻)の子宮に入れる。

(3)女性(妻)に問題があって妊娠できない場合―――男性(夫)から精子を取り出し、女性(妻)から卵子を取り出して培養器の中で人工的に受精させ、女性(妻)の子宮に戻す。

(4)女性に卵子がない場合―――男性から精子を取り出し、第3者から卵子の提供を受け、培養器の中で人工的に受精させ、女性(妻)の子宮に入れる。日本では認められていないが、外国でおこなって日本で出産すれば、実子ということになる。

(5)女性(妻)に卵子はあるが子宮がない場合―――男性(夫)から精子を取り出し、女性(妻)から卵子を取り出し、人工的に受精させ、それを第3者の子宮の中で育てて出産する。いわゆる「代理出産」。この場合、DNA的(遺伝的)は夫婦の子どもとなる。向井亜紀さんのケースだ。日本では認められていないため、許可されている外国でおこなわれることが多い。日本で祖母が孫を産んだケースもこれ。母親や姉妹に
頼むのは、金銭的トラブルやその後の感情的トラブルを少なくするためだ。

(6)女性(妻)に卵子も子宮もない場合―――男性(夫)から精子を取り出し、第3者から卵子の提供を受け、人工授精させ、それをさらに別の女性の子宮に入れる。日本では認められていない。このケースで子どもを得た女性(妻)が実子として役所に届け出たが拒否されたために、裁判になった。昨年11月に、最高裁が「母と認められない」との判断を下した。この場合、3人の母が存在することになる。卵子の母、産んだ母、育てる母。

(7)女性(妻)に卵子も子宮もあるが、年齢的に妊娠しにくい場合―――男性(夫)から精子を取り出し、女性(妻)から卵子を取り出す。さらに、第3者から若い卵子を取り出し、核だけを取り替える。それを人工授精させ、女性(妻)の子宮に戻す。DNA的(遺伝的)は夫婦の子どもとなる。

(8)男性(夫)の精子を冷凍保存しておき、必要なときに解凍して使う―――男性の死後、使用すれば「死後受精」となる。日本では、最高裁が「父子関係を認めない」判断を出している。

(9)その他―――(1)から(8)までを組み合わせておこなう。たとえば、冷凍保存しておいた精子を、第3者の卵子と子宮を使って出産するとか、(7)でつくった卵子を代理出産してもらうなどが考えられる。

 ところで、もし、精子ばかりでなく卵子も冷凍保存できるようになれば、SF小説の世界が出現する。ひ孫が曾おばあちゃんの子ども(つまり祖母)を産むことも出来るはずだ。頭が混乱してきた。
レギュラー出演者
森 啓次郎
森 啓次郎
「Asahiパソコン」「ぱそ」「週刊朝日」編集長を経て、現在、大学講師(メディア論)。