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森啓次郎エッセイ
森啓次郎エッセイ
10/6(金)
「携帯戦国時代」

 電車内で携帯電話の広告が目立つようになった。「iPod」が一緒に写っているところを見ると、人気の音楽プレーヤーの機能がついているのだろうか。

 カメラ付きだけではもう時代遅れらしい。今や、テレビ、ラジオ、カード(お財布携帯)などの機能が満載されている。

 10月24日から、会社を変えても電話番号をそのまま持ち運ぶことが出来るようになる。これまでは、総務省によって携帯電話事業者に番号が割り当てられていた。だから、電話番号を見れば、どこの電話会社と契約しているかが分かるようになっていた。

 ある調査によると、携帯電話を買い替えた人の約85%が、同じ会社の製品にしていた。理由は「電話番号を変えたくなかったから」である。それがなくなる。今度は、機能の善し悪しだけで機種を選ぶようになる。「携帯戦国時代」の始まりだ。

 しかし、新機能ばかりが強調されていて、肝心のバッテリーは大丈夫なのかと心配している。これまでは電話やメールを断続的に使っていたので電池の消耗もそれほど激しくなかったが、新機能のせいでテレビを見っぱなし、インターネットを使いっぱなしという使い方が起きる。フル機能を使い続けると、1時間しか持たないと聞く。発熱量も大きくなる。

 携帯電話には、リチウムイオン電池が使われている。ニッケル-カドミウム電池に比べると、軽量で大容量が特徴だ。ソニーが1991年に実用化した。世界の7割を日本製品が占めている。

 そのリチウムイオン電池が揺れている。パソコンに使われていたソニー製のバッテリーに発火事故が起きているからだ。アップル、デルを始め、メーカー5社が764万3000個のバッテリーを交換する騒ぎになっている。

 9月16日には、ロサンゼルス空港で、搭乗しようとしていたお客の持っていたパソコンが煙を上げ、ロビーに向かって走ったという事件も起きた。それが、リコール対象になっていなかった「レノボ製のシンクパッド(パソコン)」だったので、また大騒ぎになった。

 ソニーは、問題のバッテリーには微小の金属片が混入しており、それが発火原因と考えられると発表した。パソコンとの相性の問題も指摘している。

 ところが、今日(10月6日)の朝日新聞を見ると、社会面の下の広告ページに「ヤマハ発動機製電動車イスのリチウムイオンバッテリー及び電動スクーター搭載バッテリー回収・交換のお知らせ」が掲載されている。

 原因として「日立ビークルエナジー社製セル(単電池)の製造工程が不適切なため、当該バッテリーセル内部でごくまれに短絡が発生することがあります。その際、短絡時の発熱により電解液等が気化して内部圧力が高くなり、高温の白煙とともに電解液が噴出し、最悪の場合火災に至るおそれがあることが判明しました」と書かれている。

 現在のリチウムイオン電池にはプラス極に酸化コバルトが使われており、その物質的性格がまだはっきり分かっていない。この物質は揮発性が高く、爆発の原因になるという。

 で、携帯電話は大丈夫か。欧米ではすでに欠陥バッテリーによる爆発・火災事故が何件か起きている。「落としたり、小銭と接触させたりすると危険」とあるが、そんなことは日常茶飯事だ。

 「警戒する携帯電話」なんて困りちうむ。
レギュラー出演者
森 啓次郎
森 啓次郎
「Asahiパソコン」「ぱそ」「週刊朝日」編集長を経て、現在、大学講師(メディア論)。