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上杉隆の「読み・解く」
上杉隆の「読み・解く」
パックン宰相の胸中
 崩壊するまでの1年間、安倍政権は揺れに揺れた。

 「戦後レジームからの脱却」を掲げて、憲法改正、教育改革など理念先行型の政治を推し進めたが、政治とカネをめぐるスキャンダルが相次いだ。「チーム安倍」のドタバタに足をすくわれ、前首相は退場を余儀なくされた。その突然の辞任表明から約1カ月、国会は新しい首相を迎えてようやく本格的な論戦に入った。

 「野党の皆さまと、誠意を持って話し合いながら、国民の負託に応えたい」
 安倍前首相が、強行採決を連発して、野党との対決姿勢を鮮明にしたのとは一転し、福田首相は就任以来繰り返しそう述べ、民主党との「話し合い路線」を打ち出した。

 テロ特措法に代わる新法についても、野党との修正協議といった柔軟な構えを見せ、総裁選中には「話し合い解散」にも言及。国会運営のみならず政権戦略でも、大幅に譲歩する姿勢を示した。

 「テロ特措法、新法、予算など、場合によっては『パックン宰相』でもなんでもいいんです」
 携帯電話で毎日のように連絡を取り合っているという衛藤征士郎・元防衛庁長官は、日本外国特派員協会での講演中、そのように福田首相の胸のうちを代弁してみせた。

 98年、参院選で惨敗した橋本政権の後を引き継いだのが小渕政権だった。直後の「金融国会」は荒れに荒れて、小渕首相は過半数に届かない参議院の運営に苦しむ。そこで生まれた戦略が、野党案を丸のみする「パックン宰相」スタイルだった。

 野党が、参議院で過半数を握る現在、情勢は当時よりもさらに厳しい。衛藤氏はそれを踏まえて、ひとつの方法を示した。だが、同時に不安を付け加えることも忘れない。

 「首相の仕事の99%は、予算を成立させることだということです。福田さんもそう語っています。逆に言えば、予算さえ通れば99%仕事は片付いたようなものです」

 過去にも、予算成立と引き換えに首相のクビを差し出して、政権交代を余儀なくされた例はあった。それほどまでに予算は、政権にとっての生命線であるのだ。

 93〜94年の細川政権では、年度末になっても予算が通らず、事実上国会は機能不全に陥った。
 政界のみならず、経済界からの批判も集中し、細川政権は信頼を完全に失うこととなった。細川首相は94年4月に辞任に追い込まれた。

 福田首相が、「話し合い路線」を強調し、我慢強く、民主党にほほ笑みかけている真意は、実は予算にあるのだ。

 だが果たして福田首相は、政権維持のために、本来の頑固な性格を春まで押し隠し続けることができるのだろうか。

 それはある意味、国会運営よりも難しいかもしれない。
放送時間
初回放送
月曜〜金曜 夜8:00〜8:55
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レギュラー出演者
金慶珠
金慶珠
(月曜担当)
東海大学准教授
上杉隆
上杉隆
(火曜担当)
ジャーナリスト
宮崎哲弥
宮崎哲弥
(水曜担当)
評論家
葉 千栄
葉 千栄
(木曜担当)
東海大学教授
辻広雅文
辻広雅文
(金曜担当)
ダイヤモンド社
論説委員
波多野健
波多野健
(月サブキャスター)
重信メイ
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(火・木サブキャスター)
堤未果
堤未果
(水・金サブキャスター)