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No.34 批判に答える
 憤懣やるかたない口調だった。

前回このコラムで、「道路特定財源を応能税として捉えなおし、一般財源化せよと書いたら、北海道と九州の市長、町長二人から、「地方の惨状、東京との格差を知らぬ者の一方的主張だ」と、強烈なお叱りの電話をいただいた。

「道路特定財源の一般財源化」に火をつけたのは、小泉純一郎元首相である。族議員、地方自治体、自動車工業会などの関連業界の猛烈な反対を受けて果たせず、引き継いだ安倍晋三前首相は昨年一二月、「道路整備に必要な財源を上回る税収分だけを一般財源化する」という妥協の産物で決着させた。しかし、福田康夫首相はそれさえも慎重な姿勢に後退している。それだけ抵抗勢力の勢いが増している、ということだ。福田内閣が打ち出した地域格差是正の目玉だ、とすら意気込んでいる。

 電話をいただいた市町長とは、それぞれ30分ほど問答を繰り返した。第一に、「熊しか通らない道路」の例えどおり、もはや道路整備は有効な社会資本形成には結びつかない。第二に、公共事業を全国にいくらばらまいても経済活性化、景気回復には役に立たず、借金がかさむだけであることは小渕政権の失敗で証明されている。第三に、地方の公共事業は”国内ODA“と揶揄されるほど族議員、建設会社社長などの有力者による中抜きが多く、地元の人々におカネは回らない。第四に、公共事業を行うならば都市部のほうがはるかに効率的だ――縷々説明する私に、相手はついにキレた。
「じゃあ一体、国は代わりに何をしてくれる」――。

 世界でも類を見ないスピードで進む日本の少子高齢化は、地方で先行する。例えば、六五歳以上が人口の過半数を占める「限界集落」は全国で七八〇〇あり、年間約三〇〇増える。税収は少なく、介護保険など年金生活者に負担を強いる。さまざまな制度を維持できない。「暮らしを守れない。安全も守れない。その苦しさは、東京に住むものには分からない」、そう訴える市町長にとって、公共事業は効率悪かろうが、虎の子の所得再配分機能なのだ。奪われてたまるか――電話口から、東京への怨念すら伝わってきた。民主党の幹部は、「今、地方は東京へのルサンチマン(他人や差異への憎しみ)が覆っている。われわれが参議院選挙で大勝したのは、そこに火がついたからだ」と言う。

 ルサンチマンの増大は、社会の不安定化をもたらす。といって、道路整備や公共事業のばら撒きに戻ってはならない。公共事業に代わる、より有効な所得配分機能を、社会保障政策として考えるべきときだろう。経済学的に言えば、最も効率がいいのは直接おカネを配ることである。地方に産業構造転換や町興しの努力を迫るとともに、暮らしを脅かされている人々には、「最低保証年金」とでも呼ぶべき制度をつくる。そのとき、増税のみに頼らず、歳出構造を抜本改革し、公共事業から社会保障への転換を宣言することが必須であることはいうまでもない(辻広雅文、『週刊ダイヤモンド』掲載)。
放送時間
初回放送
月曜〜金曜 夜8:00〜8:55
再放送
月曜〜金曜
 ・午後1:00〜1:55
 ・深夜0:00〜0:55
 ・深夜2:00〜2:55
日曜〜金曜
 ・翌朝6:00〜6:55
金曜深夜3:00〜
 ・月曜分 3:00〜
 ・火曜分 4:00〜
 ・水曜分 翌朝5:00〜
 ・木曜分 翌朝6:00〜
日曜深夜.2:00〜
 ・月曜分 2:00〜
 ・火曜分 3:00〜
 ・水曜分 4:00〜
 ・木曜分 翌朝5:00〜
 ・金曜分 翌朝6:00〜
レギュラー出演者
金慶珠
金慶珠
(月曜担当)
東海大学准教授
上杉隆
上杉隆
(火曜担当)
ジャーナリスト
宮崎哲弥
宮崎哲弥
(水曜担当)
評論家
葉 千栄
葉 千栄
(木曜担当)
東海大学教授
辻広雅文
辻広雅文
(金曜担当)
ダイヤモンド社
論説委員
波多野健
波多野健
(月サブキャスター)
重信メイ
重信メイ
(火・木サブキャスター)
堤未果
堤未果
(水・金サブキャスター)