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No.32 見えない高齢者の痛み
 誰が改革の痛みを引き受けるべきなのだろう。

 振り返れば、高齢者とりわけ中低所得者に厳しい制度変更が立て続けだった。二〇〇〇年の介護保険制度改正で、無料だった介護保険料は月約四〇〇〇円の徴収が決まった。〇二年には小泉前首相が主導した第一次医療制度改革で、現役世代なみの収入(五百二〇万円以上)の高齢者の自己負担が引き上げられた。〇四年の税制改正では、高齢者の老年者控除を廃止した。

 そして、〇六年六月の第二次医療制度改革によって、七〇代前半の年収五二〇万円未満の高齢者は、来年四月から自己負担が一割からに二割に増える(高額所得者は、すでに3割に引き上げられている)。高齢者の平均年間医療費は六〇万円だから、自己負担は月一万円になる。また、後期高齢者だけを対象にした医療保険の新設を決定、七五歳になれば、自己負担は一割に戻るものの、月約六〇〇〇円の新保険料が天引きされる。介護保険料も合わせ、月一万数千円の自己負担は、年金受給額月五〜六万円の中低所得の高齢者、地方の独居老人たちに重くのしかかる。
 
 福田康夫新首相は、〇六年改革による自己負担増分を凍結するという。福田首相が〇六年改革当時に反対したという話はついぞ聴いたことがないし、〇四年までは小泉改革を支えた官房長官だった。だから、凍結は理念からではなく、来年にもあるだろう総選挙対策なのは明らかだ。また、財政赤字の深刻さ、毎年社会保障費が一兆円増え続ける現実を考えれば、改革を実行せよという声は、正論でもある。

 だが、高齢者にしわ寄せされたこの厳しさを考えれば、私は、理解はできる。問題は財源、そして、誰が痛みを引き受けるかという理念の再検討である。財源確保の方法は三つ、税金、保険料、自己負担、だ。このうち、病気になる頻度が高い高齢者に自己負担させる方法が、もっとも当事者にきつい。言い換えれば、高齢者以外にはコスト負担が実感できない、痛みが分からない最も導入しやすい方法でもある。政府は、多くの国民に見えないように、ベールをかぶせた方法を採ってきたのである。高齢者の無駄な医療が多く、コスト意識を持って自制してもらいたいならば、保険料徴収で十分だろう。

 福田首相が強調するように、「若者に希望を、高齢者に安心を与える国にしたい」なら、凍結するだけではなく、国民全員の問題だと正面切って説得し、制度を変更、税金に財源を求めるべきである。(辻広雅文、『週刊ダイヤモンド』掲載)。
放送時間
初回放送
月曜〜金曜 夜8:00〜8:55
再放送
月曜〜金曜
 ・午後1:00〜1:55
 ・深夜0:00〜0:55
 ・深夜2:00〜2:55
日曜〜金曜
 ・翌朝6:00〜6:55
金曜深夜3:00〜
 ・月曜分 3:00〜
 ・火曜分 4:00〜
 ・水曜分 翌朝5:00〜
 ・木曜分 翌朝6:00〜
日曜深夜.2:00〜
 ・月曜分 2:00〜
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 ・水曜分 4:00〜
 ・木曜分 翌朝5:00〜
 ・金曜分 翌朝6:00〜
レギュラー出演者
金慶珠
金慶珠
(月曜担当)
東海大学准教授
上杉隆
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(火曜担当)
ジャーナリスト
宮崎哲弥
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(水曜担当)
評論家
葉 千栄
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(木曜担当)
東海大学教授
辻広雅文
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(金曜担当)
ダイヤモンド社
論説委員
波多野健
波多野健
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重信メイ
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堤未果
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