
No.23 納税者投票
私が居住する東京都渋谷区の幼児医療費は六歳未満が無料、この一〇月から小中学生もその対象になる。私の故郷である北海道函館市は、三歳未満でも初診料は自己負担、次回以降無料になるには親の所得制限(控除所得約六〇〇万円)がかかる。公立幼稚園の入園費、月の保育日は、渋谷区二〇〇〇円、五〇〇〇円に対し、函館市は一万七〇〇円、五九〇〇円である。
地方の税収格差(=行政サービス格差)是正のため、納税額の一割程度を生まれ故郷などに移す「ふるさと納税」が提言された。経済沈滞する故郷に住む親族、友人への思いがくすぐられ、心が動く。だが、地方税収格差の元凶は、東京都と長崎県では五.二倍も開く法人二税の税収格差だ。抜本的解決には、偏在激しい法人2税を国税とし、その同額程度を格差が二倍程度の地方消費税に振り替える税制改正策が必須だ。
そもそも、故郷に納めた税金が無駄遣いされない、という保証はまったくない。納税者は使途をどうモニターするのか。地方税収格差の一因は、国の補助に頼りきり、箱モノ事業ばかりを続け、投資先として魅力ある街、制度設計や歳出削減の努力を怠った地方自治体にある。
市町村合併は進んでいるが、行政の合理化努力は伴っていない。財政学が専門の土居丈朗・慶応義塾大教授は、「ふるさと納税より納税者投票を」という。納税者が使途を選び、自治体に無駄使いをさせない制度のほうがよほど先決なのである。
(注)ふるさと納税にしろ、法人二税改革にしろ、東京都は税金を引き剥がされる側であり、石原都知事は猛反発している。東京都に居住する人が地方居住者より快適な暮らしを享受しているとは言えないから、私も簡単には“東京一人勝ち論”には与するつもりはない。だが、東京都の教育委員は月報酬四四万円強で、他市町村平均の四倍である。月二回の会合に出席するだけで、である。選挙管理委員の待遇も同じであり、潤沢な税収におぼれ、こんな無駄遣いをしているようでは、石原都知事も胸を張って反論はできまい。(辻広雅文、『週刊ダイヤモンド』掲載)
地方の税収格差(=行政サービス格差)是正のため、納税額の一割程度を生まれ故郷などに移す「ふるさと納税」が提言された。経済沈滞する故郷に住む親族、友人への思いがくすぐられ、心が動く。だが、地方税収格差の元凶は、東京都と長崎県では五.二倍も開く法人二税の税収格差だ。抜本的解決には、偏在激しい法人2税を国税とし、その同額程度を格差が二倍程度の地方消費税に振り替える税制改正策が必須だ。
そもそも、故郷に納めた税金が無駄遣いされない、という保証はまったくない。納税者は使途をどうモニターするのか。地方税収格差の一因は、国の補助に頼りきり、箱モノ事業ばかりを続け、投資先として魅力ある街、制度設計や歳出削減の努力を怠った地方自治体にある。
市町村合併は進んでいるが、行政の合理化努力は伴っていない。財政学が専門の土居丈朗・慶応義塾大教授は、「ふるさと納税より納税者投票を」という。納税者が使途を選び、自治体に無駄使いをさせない制度のほうがよほど先決なのである。
(注)ふるさと納税にしろ、法人二税改革にしろ、東京都は税金を引き剥がされる側であり、石原都知事は猛反発している。東京都に居住する人が地方居住者より快適な暮らしを享受しているとは言えないから、私も簡単には“東京一人勝ち論”には与するつもりはない。だが、東京都の教育委員は月報酬四四万円強で、他市町村平均の四倍である。月二回の会合に出席するだけで、である。選挙管理委員の待遇も同じであり、潤沢な税収におぼれ、こんな無駄遣いをしているようでは、石原都知事も胸を張って反論はできまい。(辻広雅文、『週刊ダイヤモンド』掲載)

