
No.11 政府とメデイア
米国独立宣言の起草者、トーマス・ジェファーソン第三代大統領が、「新聞のない政府か政府のない新聞のどちらかを選ぶなら、ためらうことなく後者だ」と述べたことはあまりに有名だ。
ニクソン大統領を引きずり降ろしたボブ・ウッドワード記者は、クリントン政権の内幕を描いた「大統領執務室」の書き出しを、大統領夫妻の寝室の会話から始めた。取材源は明らかで、大統領ひいてはホワイトハウスの取り込み戦略の匂いが濃い。関係者によれば、先の自民党総裁選挙は福田康夫氏が有力な対抗馬とされたが、それは総裁選を盛り上げ、安倍信三氏を小泉政権の正当な後継者と認知させるための官邸発の情報誘導がおおもとだったという。事の裏側に迫ろうとする者を、権力は巧みな操作で利用する。大量破壊兵器などなかったイラク開戦、検察リーク溢れるインサイダー取引事件――。利用に成功したとき、彼らは利用した相手に軽蔑新を抱く。
NHKに政府が、北朝鮮拉致事件を重点報道するよう命令を下した。操作も誘導もなく、放送法にもとずく古色蒼然とした「命令」である。メデイアは今や侮られ、なめられている。
実は、言論の自由の重要さを力説したジェファーソンは晩年には、「新聞の愚劣な憶測と彼らのうそつき振りを四〇年に渡って経験すると読む価値があるとも、考慮に値するとも思わない」(マーチン・メイヤー「ニュースとは何か」)と吐き棄てている。利用か侮蔑か。政治家のメデイアに対する本性を思い知らされる。(『週刊ダイヤモンド』より転載)
(注)ジェファーソンは、「情報は民主主義の貨幣である」とまで言い切り、米国ジャーナリズムの守り神のごとく思われているのだが、後年には「新聞のなかの頼りにできる真実は広告だけである」と書くメデイア嫌いになった。本文の「新聞の愚劣な憶測・・・・・」というくだりは、ジェファーソンのジェームズ・モンロー第5大大統領への手紙の一節で、「プレスと大統領」という本に記されている。自著に引用したメイヤーは、プレス嫌いで知られたリチャード・ニクソンだって、これ以上明快な物言いはできないだろう、と解説している。
ニクソン大統領を引きずり降ろしたボブ・ウッドワード記者は、クリントン政権の内幕を描いた「大統領執務室」の書き出しを、大統領夫妻の寝室の会話から始めた。取材源は明らかで、大統領ひいてはホワイトハウスの取り込み戦略の匂いが濃い。関係者によれば、先の自民党総裁選挙は福田康夫氏が有力な対抗馬とされたが、それは総裁選を盛り上げ、安倍信三氏を小泉政権の正当な後継者と認知させるための官邸発の情報誘導がおおもとだったという。事の裏側に迫ろうとする者を、権力は巧みな操作で利用する。大量破壊兵器などなかったイラク開戦、検察リーク溢れるインサイダー取引事件――。利用に成功したとき、彼らは利用した相手に軽蔑新を抱く。
NHKに政府が、北朝鮮拉致事件を重点報道するよう命令を下した。操作も誘導もなく、放送法にもとずく古色蒼然とした「命令」である。メデイアは今や侮られ、なめられている。
実は、言論の自由の重要さを力説したジェファーソンは晩年には、「新聞の愚劣な憶測と彼らのうそつき振りを四〇年に渡って経験すると読む価値があるとも、考慮に値するとも思わない」(マーチン・メイヤー「ニュースとは何か」)と吐き棄てている。利用か侮蔑か。政治家のメデイアに対する本性を思い知らされる。(『週刊ダイヤモンド』より転載)
(注)ジェファーソンは、「情報は民主主義の貨幣である」とまで言い切り、米国ジャーナリズムの守り神のごとく思われているのだが、後年には「新聞のなかの頼りにできる真実は広告だけである」と書くメデイア嫌いになった。本文の「新聞の愚劣な憶測・・・・・」というくだりは、ジェファーソンのジェームズ・モンロー第5大大統領への手紙の一節で、「プレスと大統領」という本に記されている。自著に引用したメイヤーは、プレス嫌いで知られたリチャード・ニクソンだって、これ以上明快な物言いはできないだろう、と解説している。

