
No.7 結果論でいいのか
四年前の二〇〇二年、竹中平蔵新大臣を迎えた金融庁幹部は「問題の本質と解決策をA4版一枚にまとめ、簡潔に総理に説明、理解を得る能力」に感嘆した。
小泉政権を支えた竹中氏の最大の業績は、不良債権問題を処理したこととされる。彼は、大手銀行の不良債権比率を半減させるべく、圧力をかけた。資産査定を厳格化し、不良債権処理によって資本不足に陥ったら、躊躇せず国有化する苛烈な施策を打ち出した。恐怖を覚えた銀行経営者は、会計操作に近い組織再編や強引な増資でしのいだ。竹中氏の狙いは当たった。
だが、それは結果論であり、政策と呼ぶには危うい“賭け”だった。冷静に考えれば、日本政府に大手銀行を次々国有化し、一斉に再生する能力などない。そして彼は、そうなれば必要になるだろう巨額資金の試算も財政手当てもしなかった。最悪の事態を想定しない、一挙的解決策だった。
現に、りそな銀行が追い詰められ、実質債務超過に陥った時、金融庁は想定も準備もしていなかった。竹中大臣はその困難さを自覚したのか、国有化ではなく資本増強を選択した。このとき、国有化せず、つまり株主責任を問わなかったことに株式市場が安堵し、株価回復につながったと評価する声は多い。だが、経済データを検証すると、実体経済はそれ以前に好転していたことがわかる。
明快に潜む欠落、果断と裏腹の粗雑、軽率。議員を辞職して政府を去る竹中氏に、一部で次期日銀総裁説が囁かれる。(辻広雅文、、『週刊ダイヤモンド』掲載)
小泉政権を支えた竹中氏の最大の業績は、不良債権問題を処理したこととされる。彼は、大手銀行の不良債権比率を半減させるべく、圧力をかけた。資産査定を厳格化し、不良債権処理によって資本不足に陥ったら、躊躇せず国有化する苛烈な施策を打ち出した。恐怖を覚えた銀行経営者は、会計操作に近い組織再編や強引な増資でしのいだ。竹中氏の狙いは当たった。
だが、それは結果論であり、政策と呼ぶには危うい“賭け”だった。冷静に考えれば、日本政府に大手銀行を次々国有化し、一斉に再生する能力などない。そして彼は、そうなれば必要になるだろう巨額資金の試算も財政手当てもしなかった。最悪の事態を想定しない、一挙的解決策だった。
現に、りそな銀行が追い詰められ、実質債務超過に陥った時、金融庁は想定も準備もしていなかった。竹中大臣はその困難さを自覚したのか、国有化ではなく資本増強を選択した。このとき、国有化せず、つまり株主責任を問わなかったことに株式市場が安堵し、株価回復につながったと評価する声は多い。だが、経済データを検証すると、実体経済はそれ以前に好転していたことがわかる。
明快に潜む欠落、果断と裏腹の粗雑、軽率。議員を辞職して政府を去る竹中氏に、一部で次期日銀総裁説が囁かれる。(辻広雅文、、『週刊ダイヤモンド』掲載)

