
2/17(日)朝9:30〜10:00
「居酒屋からニッポンが見える」
〜海洋廃棄大国の素顔〜
芋焼酎のお湯割り梅干入り、ホタテのバター焼き。どちらも居酒屋の人気メニュー。しかしこのメニュー、裏側では3種類の海洋汚染が問題となっているのです。
まず焼酎。40年前から右肩上がりで伸びてきた芋焼酎の生産量は平成に入って一気に増え、いまやその頃の10倍となっています。しかし、焼酎は実は製造の過程で「焼酎カス」という膨大な廃棄物を産み出しているのです。1リットルの焼酎を作るとその倍の2リットルのカスが出てしまうのです。かつてブームが来る以前は、芋焼酎の故郷・鹿児島では、農家が家畜の餌として使い、焼酎カスは地元で上手に処理できていました。ところがその処理能力をいつしか越えてしまい、30年ほど前から海に捨てられるようになりました。しかし、1996年、海洋投棄を規制するロンドン条約議定書の採択を受け、2007年4月日本は「改正海洋汚染防止法」を施行。廃棄物の海洋投棄が5年の猶予期間をもうけ全面禁止になりました。芋焼酎メーカーは慌てました。2、3日で腐る焼酎カスをどう処理すればよいのでしょうか……。実はカスには家畜の成長を促進させる物質があることが分かりました。そこで、鹿児島では蔵元たちは焼酎カスを家畜飼料にリサイクルするプラントを共同で11億円かけて建設し、陸上処理に切り替えました。ところが、さらなる芋焼酎のブームで、一気にプラントの処理能力を越えてしまいました。知恵をしぼり、試行錯誤を繰り返してたどり着いたのが産卵用のタコツボ。焼酎カスで作ったコンクリートを使いました。有機成分を利用して、水中の環境を改善しようというのです。2006年秋から鹿児島湾で行われ、5ヵ月後にその成果を確かめたところ、タコツボではちゃんとタコの産卵が行われていました。
そして梅干し。かつては塩で漬けただけ梅干しが主流でした。しかし今は、一度漬けた梅干しから塩分を取り除き、甘みのある梅干しが人気です。そのため調味液というものに一ヶ月漬け込むのですが、この調味液、やはりこれまでは海へ捨てられていました。その量は梅干しの生産地・和歌山全体では年間およそ5万トン。みなべ町の東農園では総工費一億円かけて浄化槽のある処理工場を作り、陸上処理に切り替えました。しかし「調味液はまだ資源、もったいない」と社長。そこで、研究に研究を重ね、完成させたのが梅酢や調味液から作った塩の固まりです。これを北海道の知床牛に食べてもらうことになりました。牛はミネラルや鉄分を補うために、塩をとらなければならないのです。これまでは輸入の塩を使っていました。和歌山の梅干しと北海道の知床牛がリサイクルの塩でつながったのです。
もうひとつはホタテ。ホタテの産地・青森では年間8万トンのホタテ貝を生産しています。それによって残る貝殻は年間4、5万トン。そこで知恵をしぼり、この雪国で貝殻は雪道の凍結防止剤に生まれ変わりました。
このようにして、焼酎カス、梅干しの調味液、ホタテの貝殻、これまではゴミとして海に捨てられていたものが、人々のアイデアと情熱で陸上で見事にリサイクルされるようになったのです。
ナレーター:室井 滋 ナビゲーター:山本 太郎
〜海洋廃棄大国の素顔〜
芋焼酎のお湯割り梅干入り、ホタテのバター焼き。どちらも居酒屋の人気メニュー。しかしこのメニュー、裏側では3種類の海洋汚染が問題となっているのです。
まず焼酎。40年前から右肩上がりで伸びてきた芋焼酎の生産量は平成に入って一気に増え、いまやその頃の10倍となっています。しかし、焼酎は実は製造の過程で「焼酎カス」という膨大な廃棄物を産み出しているのです。1リットルの焼酎を作るとその倍の2リットルのカスが出てしまうのです。かつてブームが来る以前は、芋焼酎の故郷・鹿児島では、農家が家畜の餌として使い、焼酎カスは地元で上手に処理できていました。ところがその処理能力をいつしか越えてしまい、30年ほど前から海に捨てられるようになりました。しかし、1996年、海洋投棄を規制するロンドン条約議定書の採択を受け、2007年4月日本は「改正海洋汚染防止法」を施行。廃棄物の海洋投棄が5年の猶予期間をもうけ全面禁止になりました。芋焼酎メーカーは慌てました。2、3日で腐る焼酎カスをどう処理すればよいのでしょうか……。実はカスには家畜の成長を促進させる物質があることが分かりました。そこで、鹿児島では蔵元たちは焼酎カスを家畜飼料にリサイクルするプラントを共同で11億円かけて建設し、陸上処理に切り替えました。ところが、さらなる芋焼酎のブームで、一気にプラントの処理能力を越えてしまいました。知恵をしぼり、試行錯誤を繰り返してたどり着いたのが産卵用のタコツボ。焼酎カスで作ったコンクリートを使いました。有機成分を利用して、水中の環境を改善しようというのです。2006年秋から鹿児島湾で行われ、5ヵ月後にその成果を確かめたところ、タコツボではちゃんとタコの産卵が行われていました。
そして梅干し。かつては塩で漬けただけ梅干しが主流でした。しかし今は、一度漬けた梅干しから塩分を取り除き、甘みのある梅干しが人気です。そのため調味液というものに一ヶ月漬け込むのですが、この調味液、やはりこれまでは海へ捨てられていました。その量は梅干しの生産地・和歌山全体では年間およそ5万トン。みなべ町の東農園では総工費一億円かけて浄化槽のある処理工場を作り、陸上処理に切り替えました。しかし「調味液はまだ資源、もったいない」と社長。そこで、研究に研究を重ね、完成させたのが梅酢や調味液から作った塩の固まりです。これを北海道の知床牛に食べてもらうことになりました。牛はミネラルや鉄分を補うために、塩をとらなければならないのです。これまでは輸入の塩を使っていました。和歌山の梅干しと北海道の知床牛がリサイクルの塩でつながったのです。
もうひとつはホタテ。ホタテの産地・青森では年間8万トンのホタテ貝を生産しています。それによって残る貝殻は年間4、5万トン。そこで知恵をしぼり、この雪国で貝殻は雪道の凍結防止剤に生まれ変わりました。
このようにして、焼酎カス、梅干しの調味液、ホタテの貝殻、これまではゴミとして海に捨てられていたものが、人々のアイデアと情熱で陸上で見事にリサイクルされるようになったのです。
ナレーター:室井 滋 ナビゲーター:山本 太郎

