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素敵な宇宙船地球号
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2/3(日)朝9:30〜10:00
「新たな進化!? ホッキョクグマの悲鳴」

北極海に浮かぶカナダ・バンクス島。カナダでは、先住民がガイドとなり、絶滅の心配されるホッキョクグマの狩りを商売にしています。アメリカでは1970年代に禁止となったため、ハンティング好きのアメリカ人がやって来ては、この10年で800頭以上のホッキョクグマが撃たれたといいます。2006年4月16日、ガイドを伴いホッキョクグマを狙っていたアメリカ人ハンターのジム・マーテルさんは、体毛は白いのに目の周りが黒く縁取られた変わったクマを仕留めました。それを見たガイドは「グリズリーとのハイブリッド(交雑種)ではないか」と言いましたが、環境天然資源省の係官は「ホッキョクグマの許可証でグリズリーを撃った」として、1年以下の懲役と10万円の罰金を言い渡しました。そこでついにDNA鑑定されることとなったクマは、ガイドの言う通り、ヒグマの仲間であるグリズリーの父とホッキョクグマの母の両方の遺伝子を受け継ぐハイブリッドであることがわかりました。野性のハイブリッドが確認されたのは初めて。世紀の大発見でした。
アメリカの国内法で、寄付や売買を禁じられたこのクマはジムさんに返され、剥製になっていました。横から見ると、背中に筋肉がついて肩が盛り上がり、長くてカーブした爪を持っています。これはまさしくグリズリーの特徴。DNAが極めて近いホッキョクグマとグリズリー。実は、世界の動物園で少なくとも29頭のハイブリッドが生まれ、10頭の子供を残しています。
そもそも、30年前までは、北極圏の島々にグリズリーはいませんでした。両者の生息するエリアははっきりと分かれていたのです。しかし、1990年以降、北極圏の温暖化が進むと、グリズリーが北上し始めました。さらに、氷の融解によって取り残されたホッキョクグマが、グリズリーのいる陸にあがるケースも増えています。こうして出会ったホッキョクグマとグリズリーによって生まれたハイブリッドは、温暖化の申し子ともいえます。
氷に依存して暮らす動物たちを研究している米国立科学財団のブランデン・ケリー博士によると、アザラシにも異変が表れているといいます。ワモンアザラシは4月頃、雪と氷の間に巣を作り、雪の屋根によって天敵と寒さから赤ん坊を守ります。ところが年々、雪解けが早まり、多くの赤ん坊が無防備の状態にさらされるようになってしまいました。アザラシが減ると、それを捕食するホッキョクグマにも大きな影響となります。
氷の融解が早い年は、子グマの死亡率が高いということも分かりました。大陸棚で水深の浅い所はアザラシが多く、ホッキョクグマにとって良い狩り場となりますが、北極の氷は2000年から急激に解け始め、どんどん海岸から離れ、大陸棚から遠ざかっています。栄養不足に陥り、このままでは、ホッキョクグマの数は50年以内に3分の1に減ってしまうという予測もあります。交雑を繰り返せば新しい種が生まれ、いつしかホッキョクグマは消えてなくなってしまうかもしれません。生き残りをかけた「進化」の末、陸の上で草の根を食べ、白くなくなってしまっても、ホッキョクグマと呼べるのでしょうか?

ナレーター:緒形 拳
放送時間
日曜 
午前9:30〜10:00