
5/13(日)午前9:30〜10:00
10周年スペシャル Vol.2
進化に異変!?ガラパゴスの危機
放送開始から10年。この10年で何が変わり、いま何をすべきなのか――過去の番組を再検証するシリーズ第2弾は「進化の実験室」、ガラパゴス諸島です。
大陸とつながったことが一度もなく、独自の進化を遂げた生き物は400種以上、チャールズ・ダーウィンが『進化論』を打ち立てたのはあまりにも有名。彼が着目した生き物の一つはゾウガメでした。生息する島の環境の違いから、地面に生える草を食べるゾウガメの甲羅はドーム型に、首を伸ばしてサボテンを食べるゾウガメの甲羅は先がめくれ上がった鞍型に進化するなど、甲羅の種類は11に分類されました。しかし、体長1.5メートル、寿命200年の世界最大のカメは餌無しでも1年以上生きられるため、長い航海の格好の食料として大量に捕獲され、さらに、入植者が持ち込み野生化した家畜が、ゾウガメの餌となる草を食べ尽くしてしまいました。かつてガラパゴス全体で25万頭いたといわれるゾウガメは1974年には1万5千頭に激減、人間が島に入るようになってから悲劇の一途をたどったのです。
サンタクルス島にあるチャールズ・ダーウィン研究所ゾウガメ保護センターでは各島から集められたゾウガメの卵を人工孵化し、野犬などに襲われなくなる3歳まで育て、個体情報の入ったICチップを埋め込んで野生に返します。オスメスの産み分けもできるようになり、これまでに3千頭の子ガメを自然に帰しました。
一方、同じように絶滅の危機にあった鳥、ハシボソガラパゴスフィンチは、不足した栄養を補うため、海鳥の血を吸うようになりました。これはダーウィンも知らない進化です。厳しい環境の変化が短期間で劇的な進化を起こしていると考えられます。
10年前、ガラパゴスを襲ったのが20世紀最大のエルニーニョ現象です。周辺の海では海水温が30度近くまで上昇、海藻やプランクトンが死滅し、それを餌にする生き物が激減しました。絶滅寸前まで追い込まれたバルトロメ島のガラパゴスペンギンはその後少しずつ数を回復してきましたが、地球温暖化でエルニーニョが起こりやすくなっていると言われる中、同じ規模のエルニーニョが襲ってきたら、あるいは連続して発生したら、絶滅の可能性は非常に高くなります。
危機の原因はエルニーニョだけではありません。番組では02年1月、エビの乱獲を取り上げましたが、乱獲によるエビの減少で餌となるウニが異常繁殖し、海藻を食べ尽くしてしまいました。そこにエルニーニョが追い打ちをかけ、海は海藻も生き物もいない廃墟と化したのです。
「イグアナの島」、プラザ島。山吹色の皮膚に覆われ、硬いとげのあるサボテンも食べることの出来るリクイグアナと、海中の海藻を食べるウミイグアナがいます。海にもぐれるのは世界でもこのウミイグアナだけ。元々陸にいたイグアナが、乾燥した厳しい環境のこの島で食べ物を求めて海に進出したものと考えられます。尻尾は泳ぎやすいように平たく、流れの速い海流にも流されないよう身体を固定するために爪は鋭く変化していきました。しかし、10年前のエルニーニョで半数が死滅しました。そして、両方の特徴を持つ謎のイグアナが登場したのです。DNA分析の結果、父親がウミイグアナ、母親がリクイグアナのハイブリッドイグアナだったことが分かりました。餌の海藻がなくなり、島の内陸部に移動したウミイグアナがリクイグアナと出会ったと考えられます。ウミイグアナの爪を持つハイブリッドは、木登りが出来ないリクイグアナを尻目にサボテンに登り、リクイグアナのようにとげだらけのサボテンを食べています。生き残りをかけた新種の誕生なのかも知れません。
ガラパゴスを地球全体に置き換えたとき、環境の異変は人間にどんな進化を求めてくるのでしょうか。
ナレーター:西田 ひかる
進化に異変!?ガラパゴスの危機
放送開始から10年。この10年で何が変わり、いま何をすべきなのか――過去の番組を再検証するシリーズ第2弾は「進化の実験室」、ガラパゴス諸島です。
大陸とつながったことが一度もなく、独自の進化を遂げた生き物は400種以上、チャールズ・ダーウィンが『進化論』を打ち立てたのはあまりにも有名。彼が着目した生き物の一つはゾウガメでした。生息する島の環境の違いから、地面に生える草を食べるゾウガメの甲羅はドーム型に、首を伸ばしてサボテンを食べるゾウガメの甲羅は先がめくれ上がった鞍型に進化するなど、甲羅の種類は11に分類されました。しかし、体長1.5メートル、寿命200年の世界最大のカメは餌無しでも1年以上生きられるため、長い航海の格好の食料として大量に捕獲され、さらに、入植者が持ち込み野生化した家畜が、ゾウガメの餌となる草を食べ尽くしてしまいました。かつてガラパゴス全体で25万頭いたといわれるゾウガメは1974年には1万5千頭に激減、人間が島に入るようになってから悲劇の一途をたどったのです。
サンタクルス島にあるチャールズ・ダーウィン研究所ゾウガメ保護センターでは各島から集められたゾウガメの卵を人工孵化し、野犬などに襲われなくなる3歳まで育て、個体情報の入ったICチップを埋め込んで野生に返します。オスメスの産み分けもできるようになり、これまでに3千頭の子ガメを自然に帰しました。
一方、同じように絶滅の危機にあった鳥、ハシボソガラパゴスフィンチは、不足した栄養を補うため、海鳥の血を吸うようになりました。これはダーウィンも知らない進化です。厳しい環境の変化が短期間で劇的な進化を起こしていると考えられます。
10年前、ガラパゴスを襲ったのが20世紀最大のエルニーニョ現象です。周辺の海では海水温が30度近くまで上昇、海藻やプランクトンが死滅し、それを餌にする生き物が激減しました。絶滅寸前まで追い込まれたバルトロメ島のガラパゴスペンギンはその後少しずつ数を回復してきましたが、地球温暖化でエルニーニョが起こりやすくなっていると言われる中、同じ規模のエルニーニョが襲ってきたら、あるいは連続して発生したら、絶滅の可能性は非常に高くなります。
危機の原因はエルニーニョだけではありません。番組では02年1月、エビの乱獲を取り上げましたが、乱獲によるエビの減少で餌となるウニが異常繁殖し、海藻を食べ尽くしてしまいました。そこにエルニーニョが追い打ちをかけ、海は海藻も生き物もいない廃墟と化したのです。
「イグアナの島」、プラザ島。山吹色の皮膚に覆われ、硬いとげのあるサボテンも食べることの出来るリクイグアナと、海中の海藻を食べるウミイグアナがいます。海にもぐれるのは世界でもこのウミイグアナだけ。元々陸にいたイグアナが、乾燥した厳しい環境のこの島で食べ物を求めて海に進出したものと考えられます。尻尾は泳ぎやすいように平たく、流れの速い海流にも流されないよう身体を固定するために爪は鋭く変化していきました。しかし、10年前のエルニーニョで半数が死滅しました。そして、両方の特徴を持つ謎のイグアナが登場したのです。DNA分析の結果、父親がウミイグアナ、母親がリクイグアナのハイブリッドイグアナだったことが分かりました。餌の海藻がなくなり、島の内陸部に移動したウミイグアナがリクイグアナと出会ったと考えられます。ウミイグアナの爪を持つハイブリッドは、木登りが出来ないリクイグアナを尻目にサボテンに登り、リクイグアナのようにとげだらけのサボテンを食べています。生き残りをかけた新種の誕生なのかも知れません。
ガラパゴスを地球全体に置き換えたとき、環境の異変は人間にどんな進化を求めてくるのでしょうか。
ナレーター:西田 ひかる

