タイのクーデター
まだ本当の民主国家になれないタイ

9月20日未明、電話でたたき起こされた。
「タイでクーデターです」。
あるラジオ局の朝番組が解説電話レポートを要請してきた。
あわてて朝刊を取りに行ったが、田舎に住んでいるので13版、
記事が載っていない。
外報記者時代には年中こんな状態だったことを思い出した。
かつてタイに赴任するとき先輩から、タイ名物はシルクとクーデターだとアドバイスを
受けたことがある。
年中繰り替えされるクーデター。
だが国体をひっくり返すようなものではない。
バンコクに展開するタンク部隊は必ず国王に忠誠を誓う。
92年スチンダ将軍がすぐに軍政を終わらせるといいながら首相の座に
居座り続けたため、民衆が怒り、大きなデモが起きた。
軍が発砲し600人以上が死亡した。
この事件をきっかけにタイでは民主化が進み、軍は政治に関与すべきではないという世論が形成された。
98年、タイはアジア通貨危機で苦しんでいた。
その建て直しに2001年、彗星のごとく現れたのがタクシン首相だ。
IT通信で巨額の富を蓄え、政界に打って出たタクシン首相の支持率は高く、
単独インタビューに応じてくれたタクシン首相は私の目にもさっそうと映った【写真】。
その自信が墓穴を掘った。
タクシン首相は政界から身を引かざるを得ないだろう。
失脚の原因はもう軍が政権を倒すことなどできないだろうという慢心だ。
国王の言葉も元老のアドバイスも民衆の意見にも耳を貸さなくなった。
一方で、女中さんの名義まで使った資産隠しに始まったタクシン首相の私腹をこやすやり方は自社株を売った際の一族の脱税で止めを刺された。
猛烈な反タクシン運動の中で4月、一旦は首相の座を退くことを明言しながら最近は
うやむやにし始めていた。
クーデター直前にも出張先のニューヨークで首相座に付くか着かないかまだ分からないとの発言を繰り返していた。
今回のクーデターに対する市民の感情は複雑だ。
タイの有力英字新聞ネーションのガピ編集長が指摘しているように、タクシン首相退陣には賛成、クーデターは必要悪だというのが本音のようだ。
軍は政治的混乱が続くことをクーデターの理由に挙げているが、政治的混乱はようやく民主主義的な論戦がタイに根付いたとも言える。
民主国家では政党の争いや民衆のデモで政界が混乱するのは当たり前のことだ。
最後まで論戦でタクシン首相を退陣に追い込んで欲しかった。
今後軍がいかに早く政権を民衆に返すかで軍の評価が決まるといえそうだ。

9月20日未明、電話でたたき起こされた。
「タイでクーデターです」。
あるラジオ局の朝番組が解説電話レポートを要請してきた。
あわてて朝刊を取りに行ったが、田舎に住んでいるので13版、
記事が載っていない。
外報記者時代には年中こんな状態だったことを思い出した。
かつてタイに赴任するとき先輩から、タイ名物はシルクとクーデターだとアドバイスを
受けたことがある。
年中繰り替えされるクーデター。
だが国体をひっくり返すようなものではない。
バンコクに展開するタンク部隊は必ず国王に忠誠を誓う。
92年スチンダ将軍がすぐに軍政を終わらせるといいながら首相の座に
居座り続けたため、民衆が怒り、大きなデモが起きた。
軍が発砲し600人以上が死亡した。
この事件をきっかけにタイでは民主化が進み、軍は政治に関与すべきではないという世論が形成された。
98年、タイはアジア通貨危機で苦しんでいた。
その建て直しに2001年、彗星のごとく現れたのがタクシン首相だ。
IT通信で巨額の富を蓄え、政界に打って出たタクシン首相の支持率は高く、
単独インタビューに応じてくれたタクシン首相は私の目にもさっそうと映った【写真】。
その自信が墓穴を掘った。
タクシン首相は政界から身を引かざるを得ないだろう。
失脚の原因はもう軍が政権を倒すことなどできないだろうという慢心だ。
国王の言葉も元老のアドバイスも民衆の意見にも耳を貸さなくなった。
一方で、女中さんの名義まで使った資産隠しに始まったタクシン首相の私腹をこやすやり方は自社株を売った際の一族の脱税で止めを刺された。
猛烈な反タクシン運動の中で4月、一旦は首相の座を退くことを明言しながら最近は
うやむやにし始めていた。
クーデター直前にも出張先のニューヨークで首相座に付くか着かないかまだ分からないとの発言を繰り返していた。
今回のクーデターに対する市民の感情は複雑だ。
タイの有力英字新聞ネーションのガピ編集長が指摘しているように、タクシン首相退陣には賛成、クーデターは必要悪だというのが本音のようだ。
軍は政治的混乱が続くことをクーデターの理由に挙げているが、政治的混乱はようやく民主主義的な論戦がタイに根付いたとも言える。
民主国家では政党の争いや民衆のデモで政界が混乱するのは当たり前のことだ。
最後まで論戦でタクシン首相を退陣に追い込んで欲しかった。
今後軍がいかに早く政権を民衆に返すかで軍の評価が決まるといえそうだ。
|
|
|
|
|
このページのトップへ▲ |
