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永田町の舞台裏 08.02.09号
福田vs.小沢という神話


 小沢さんに対する私の違和感は聞き飽きただろうが、ここへきて民主党内の不満もけっこう昂じているようだ。
 もしかしたら、福田さんが低空飛行ながらサミットまで政権を維持し、秋のしかるべき時期に解散し、福田自民と小沢民主が天下分け目の総選挙をする、といういわゆる主流派政局観を書き換えるべきときが来ているのかもしれない。

 なぜなのか。以下、今後の展開を予想してみる。
最初の見所はまず、3月19日で任期切れとなる福井日銀総裁の後任人事だろう。新聞辞令では、元財務次官で現日銀副総裁の武藤さんが最有力とされている。民主党は前回の武藤副総裁人事には反対しているが、さて今回はどうするのか。
 私などは当然大反対するものと思っていたのだが、いまのところ民主党執行部からは反対だとも、ほかにいい人がいるだろうとも、明確な方針の説明はない。どうもズルズルとこの人事を呑み込んでしまいそうな雰囲気すら漂う。

 余談だが、武藤さんといえば、私がかつて大蔵省を担当していたころの官房長で、多少の面識がある。当時は接待汚職で大蔵省は大騒ぎになり、綱紀粛正が担当の武藤さんは、官僚は民間人と宴席をみだりにともにしてはいけないとか、もし宴席をともにしても割り勘にしなければならない、とかいう対応策などをまとめていた。
 ある晩、私はそうした話を聞くべく、武藤さんを大蔵省にほど近い料理屋に誘ったことがあった。日本酒で会席をつつきながら約2時間。頃合いとなると武藤さんは代金のことには一切触れず、帰宅の途についた(もちろん黒塗りで)。こっちが誘ったのだし、私も民間人とはいえ記者なのだし、何より、会社に請求書を回すのだから私の腹も痛まないのだが、「ふーん、そういう人なんだ」という気分は、それ以後ずっと残っている。

 武藤さんはその後、総務審議官に格下げされ、もはやそれまでか、とだれもが(私も)思ったが、まさにこの接待汚職で入省年次が近い次官候補が次々に失脚したことから、次官に登りつめたばかりか、いまや日銀総裁候補である。
 もちろん、民主党が武藤副総裁人事に反対したのは、こういう人物論ではなく、財政と金融の分離という建前からだったはずだ。副総裁を5年やったからといって、その図式は今も全く変わらない。もし、ここで腰砕けになったりしたら、党の面目丸つぶれだと思うのだが、小沢さんにはそういう危機感がないような気がしてならない。

 もう一つの見所は、言わずと知れたガソリンの暫定税率問題である。民主党の方々はいろいろおしゃっているが、衆参議長斡旋の合意文書からは、3月末までに参院で議決しないという戦術を民主党はとりえないと思う。当たり前のことだが、大人がそう易々と約束を破ることはできない。そして、結論が分かっているのだから、暫定税率にかかわる修正案もおそらくまとまらない(だから小沢さんが大連立をもう一度狙うのではないか、という話は前回書いた)。
 となると、4月1日は何事もなく過ぎ、もう新聞などが先走って書いているが、「小沢氏、秋以降の解散に照準」とかいうことになる。冗談ではない。「小沢氏、4月解散に失敗」なのである。参院選で多数をもらい、その後も支持率の高止まりというおまけまでつけてもらっても、うまく政局を切り回せなかった――という、これは手痛い失敗の物語なのである。

 この場合、任期が今年9月までの小沢さんに、このまま続投してください、という話になりはしないだろう。昨今の民主党国会議員らの考えを聞くと、党首交代なら後任は岡田さんになるような気がする。
そうなると、自民はどうするか。福田さんにも政権浮揚のチャンスはそうはない。福田では戦えず、という話が必ず自民党内に出るだろうし、実際、そんな話をしている自民党政治家もいっぱいいる。

 もしかしたら、次の天下分け目の戦いは、自民・民主とも総大将が替わって、時期も大きく後ろにずれる、という政局展望がいまは一番正しいように思える。(O)
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「7days永田町」は終了いたしました