
永田町の舞台裏 07.12.22号
らしいと言えばらしいのだが
最近のことである。私の知り合いが、かねて親交がある福田さんに電話してみたという。話題は当然、政局。知り合いはこんな支持率じゃ解散もできないだろうから、とりあえず内閣改造でもしたらどうかといったら、福田さんは「何かいいことでもあるのか」と例の口調で言ったらしい。
らしいといえば福田さんらしい言葉で、まず閣僚なんてだれがやってもそうやることは変わらないし、やるべきことをやっていれば自然と国民の支持も得られるだろう。第一、再延長した国会が1月15日まで続く。日切れ法案の処理で下手を打たないよう、通常国会もなるべく早く開かないといけないから、閣僚をすげ替えるわけにはいくまい――とか思っているに違いない。極めて真っ当な、現実的な考え方である。
もう一つエピソードを紹介しよう。新聞の首相動静欄を読めば確認できるが、今週福田さんを加藤紘一さんが訪れている。加藤さんが首相番の記者にウソをついているからニュースにはなっていないが、何を話したのか、私は知っている。実は水面下で、山崎拓さんを団長にした自民、民主の国会議員団が北朝鮮を訪問する計画があり、福田さんに訪問をエンドースしてほしい、例えば親書をもたせてほしい、と依頼に行ったのである。山崎さんが官邸に乗り込んだら、勘の悪い記者でも何の話か分かってしまう。そこで親友の加藤さんが代役を買ってでたということらしい。
山崎、加藤さんらにすれば、日朝関係が現状のままでは、日本はめまぐるしく動きそうな東アジア外交で仲間はずれになってしまう。早く拉致問題を進展させ、核問題を動かさなければならない、との考えがあるのだろう。しかし、福田さんの回答は、今は時期じゃないから「ノーだ」というものだったらしく、超党派訪朝団計画はとりあえず凍結状態になっている。いま、国家意思に裏打ちされずに北朝鮮などを訪問したら、訪朝する面々は非難轟々になるのは間違いないのだから。
私はこういう考え方をする福田さんが決して嫌いではないが、年金や薬害肝炎問題なども重なって、首相としては食い足りない、という見方が世間では日に日に強まっているようだ。報道各社の世論調査では、支持率が軒並み危険ラインと言われる30%近くまで落ち、不支持率の方が高くなっている。
永田町では野党はもちろん与党にも、もう福田さんは解散を打てない、つまり予算でもあげたら辞任するしかないのではないか、という声がチラホラ出ている。自民党はもう土俵際で、乾坤一擲、小池百合子さんか舛添さんでも首相にして総選挙に望むしかあるまい、なんていう話もささやかれている。
福田さんはどうすればいいのだろう。もちろん自民党が野党に転落してもいいし、解党したって別段構わないが、このまま立ち枯れになられても、国民としておもしろくない。お節介を承知で対策を考えてみた。
まず、24日に決める予定の08年度予算案を組み替えてみよう。福田さんが何をやりたいのかちっとも分からないからだ。私は財政均衡など省みず、福田さんがこれだと思うプロジェクトに大盤振る舞いをすべきだと思う。「カネはこう使うのだ、みなさんこれはご入り用ではありませんか」と胸をはればいい。私なら、産婦人科医と小児科医を倍にします、ODAも倍にします、とか言ってしまうのだが。
テロ新法案はもちろん断念。「1年かけて日本の国際貢献を超党派で考えましょう」と言っても、おそらく米国を含めてだれも怒らない。そして内閣改造。誰が何と言おうと、自分の趣味で人事を断行する。かねて好ましく思っている谷垣さんを幹事長にでもして、次の首相候補にしてしまえばいい。薬害肝炎も司法の判断など気にせず、全員救済だ。北朝鮮にも電撃訪問してしまう。福田さん自身、業界内では8人と予想されている拉致被害生存者を連れて帰って、とりあえずこの問題に一区切りつけてもいいと思っているのだから、早く決断した方がいい。そして、ここが大事なのだが、どんなに批判されても、得意の皮肉を一発かましてすべてを受け流す。
ここまでやっても政権の命運は尽きるかもしれないが、政治は生気を取り戻すだろう。08年、景気は下り坂だろうし、経済的にはいいことが少ないような予感がする。せめて政治ぐらいおもしろくしてほしい。(O)
最近のことである。私の知り合いが、かねて親交がある福田さんに電話してみたという。話題は当然、政局。知り合いはこんな支持率じゃ解散もできないだろうから、とりあえず内閣改造でもしたらどうかといったら、福田さんは「何かいいことでもあるのか」と例の口調で言ったらしい。
らしいといえば福田さんらしい言葉で、まず閣僚なんてだれがやってもそうやることは変わらないし、やるべきことをやっていれば自然と国民の支持も得られるだろう。第一、再延長した国会が1月15日まで続く。日切れ法案の処理で下手を打たないよう、通常国会もなるべく早く開かないといけないから、閣僚をすげ替えるわけにはいくまい――とか思っているに違いない。極めて真っ当な、現実的な考え方である。
もう一つエピソードを紹介しよう。新聞の首相動静欄を読めば確認できるが、今週福田さんを加藤紘一さんが訪れている。加藤さんが首相番の記者にウソをついているからニュースにはなっていないが、何を話したのか、私は知っている。実は水面下で、山崎拓さんを団長にした自民、民主の国会議員団が北朝鮮を訪問する計画があり、福田さんに訪問をエンドースしてほしい、例えば親書をもたせてほしい、と依頼に行ったのである。山崎さんが官邸に乗り込んだら、勘の悪い記者でも何の話か分かってしまう。そこで親友の加藤さんが代役を買ってでたということらしい。
山崎、加藤さんらにすれば、日朝関係が現状のままでは、日本はめまぐるしく動きそうな東アジア外交で仲間はずれになってしまう。早く拉致問題を進展させ、核問題を動かさなければならない、との考えがあるのだろう。しかし、福田さんの回答は、今は時期じゃないから「ノーだ」というものだったらしく、超党派訪朝団計画はとりあえず凍結状態になっている。いま、国家意思に裏打ちされずに北朝鮮などを訪問したら、訪朝する面々は非難轟々になるのは間違いないのだから。
私はこういう考え方をする福田さんが決して嫌いではないが、年金や薬害肝炎問題なども重なって、首相としては食い足りない、という見方が世間では日に日に強まっているようだ。報道各社の世論調査では、支持率が軒並み危険ラインと言われる30%近くまで落ち、不支持率の方が高くなっている。
永田町では野党はもちろん与党にも、もう福田さんは解散を打てない、つまり予算でもあげたら辞任するしかないのではないか、という声がチラホラ出ている。自民党はもう土俵際で、乾坤一擲、小池百合子さんか舛添さんでも首相にして総選挙に望むしかあるまい、なんていう話もささやかれている。
福田さんはどうすればいいのだろう。もちろん自民党が野党に転落してもいいし、解党したって別段構わないが、このまま立ち枯れになられても、国民としておもしろくない。お節介を承知で対策を考えてみた。
まず、24日に決める予定の08年度予算案を組み替えてみよう。福田さんが何をやりたいのかちっとも分からないからだ。私は財政均衡など省みず、福田さんがこれだと思うプロジェクトに大盤振る舞いをすべきだと思う。「カネはこう使うのだ、みなさんこれはご入り用ではありませんか」と胸をはればいい。私なら、産婦人科医と小児科医を倍にします、ODAも倍にします、とか言ってしまうのだが。
テロ新法案はもちろん断念。「1年かけて日本の国際貢献を超党派で考えましょう」と言っても、おそらく米国を含めてだれも怒らない。そして内閣改造。誰が何と言おうと、自分の趣味で人事を断行する。かねて好ましく思っている谷垣さんを幹事長にでもして、次の首相候補にしてしまえばいい。薬害肝炎も司法の判断など気にせず、全員救済だ。北朝鮮にも電撃訪問してしまう。福田さん自身、業界内では8人と予想されている拉致被害生存者を連れて帰って、とりあえずこの問題に一区切りつけてもいいと思っているのだから、早く決断した方がいい。そして、ここが大事なのだが、どんなに批判されても、得意の皮肉を一発かましてすべてを受け流す。
ここまでやっても政権の命運は尽きるかもしれないが、政治は生気を取り戻すだろう。08年、景気は下り坂だろうし、経済的にはいいことが少ないような予感がする。せめて政治ぐらいおもしろくしてほしい。(O)



