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永田町の舞台裏 07.11.10号
変なおじさん

 小沢さんって、やっぱり変な人だなあ、とつくづく思う。

 自民党幹事長時代から細川連立政権樹立のころの偉そうな振る舞いには元々違和感を持っていたが、その後の連立政権崩壊時、新進党解党時、自自連立政権の発足と離脱など節目節目でその感はますます強まり、今回のあまりのデタラメぶりには脱力感すら覚えてしまう。

 先週から始まった一連の政治ドラマにはまだ解明されていない点はあるし、ウソがまことしやかに流れているということもあるだろう。そしてとくに福田さんと小沢さんの間には、永遠に表に出てこないやりとりもあるだろうから、断定的なことは言うまい。ただ、小沢さんの公式発言だけでもずいぶんと論理矛盾やすり替え、言い逃れが多いことは指摘できる。

 例えば、連立政権をなぜ探ったのかという点だ。小沢さんは「政権の一翼を担えば、私たちの主要政策が実現し、政権担当能力を国民に示し、総選挙で勝つ可能性が高まる」と言う。ウソも大概にして欲しい。

 考えて欲しい。自民、民主が連立したって主導権は衆院多数派の自民が握るに決まっている。例えば民主党自慢の独自の農業政策がどうして実現するのか。もし、何らかの農家対策が実現したって、自民党寄りの妥協が図られるに決まっている。その際、けっして民主党の政策が実現したとは言われず、自民が横綱相撲で民主の言い分を一部取り入れたと解釈されるだろう。こんな状況で民主党に政権担当能力があると有権者に理解してもらえるはずもなく、次の総選挙でプラスになるのは自民党の方に違いない。

 小沢さんのお守り役とされる藤井裕久さんも当チャンネルの番組でこう言っている。「自自連立で自由党の政策が全く実現できなかったことを小沢さんは身にしみて反省している。実際、連立は失敗だったと公言している」。小沢さんがウソをついているのは明らかだろう。

 問題は、小沢さんがなぜそういうことをするのか、と言う点だ。私は94年に小沢さんが連立政権を崩壊させたときから、小沢さんは決して政権を取ったり、首相になったりはしないように行動している――という仮説を持っている。つまり、小沢さんは結果的に自民党政権を補完するように動いている、と疑っているのだ。

 そうでなければ、なぜ勝利目前でのチョンボや利敵行為がこんなに多いか、説明がつかない。本人の性格の偏りや能力の不足との解釈もあるが、それだけではこんなにミスは続くまい。ちなみに、今回の政治劇の黒幕とされているナベツネさんも「小沢は政権を取る気がない」と触れ回って、自民党内の根回しを続けていた――とある自民党大物が証言している。

 では、なぜ小沢さんはそんな変な方針を自らに課しているのか。これは94年当時、のちに権力者となる自民党政治家(今は引退)に聞いたのだが、小沢さんは「決して首相になりません」とだれかに約束しているというのだ。私自身は読んでいないが、そのかつての権力者はその約束を記した「紙」を、私の目の前でひらひらとさせたことがあった。

 何を言っているのか、分かりづらくて申し訳ないが、小沢さんが自民党を飛び出したころ大問題になっていた金丸事件に関係している話だ、とだけ言っておこう。

 私は、いったんは辞意を表明した小沢さんが恥を忍んで慰留されたのも、こうした文脈で理解している。ここで戦意薄弱、プッツンしやすい党首を、例えば堅忍不抜そうな岡田さんなどに挿げ替えたほうが民主党にとっては得に決まっているのに、小沢さんはそういう道筋を敢えて妨害しているように私には見える。

 今後、小沢さんがもう一度連立しようとしたり、離党して新党をつくって自民と連立しようとしたりすれば、この仮説の信憑性はさらに増すだろう。そして、民主党はすでに相当傷んだが、もう一度同じような話があれば、万事が休する。これはかなりありうる話だと、私は見ている。(
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