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永田町の舞台裏 07.05.26号
ダブルがよろしいのでは

 参院選まであと2ヶ月。ここまでだれも指摘していないようなので、私が言うことにしたい。そう、安倍さんはダブル選挙に踏み切るのではないか、と。

 この夏の参院選の結果は、安倍さんが電撃的に北朝鮮を訪問して、拉致も核も解決してしまうというようなビッグニュースがない限り、ある程度の予測がつく。参院選単独なら、過去の戦績から見て、自民が大勝して公明党をのぞいても過半数維持という可能性はほとんどないのではないか。それどころか、自公合わせても過半数ギリギリ、もしくは少し割り込むのではないかというのが一般的な見立てだろう。
 自公過半数割れなら、安倍さんがいくら居座ろうとしても、遅かれ早かれ退陣に追い込まれてしまう。ギリギリ過半数維持でも、公明の顔色を伺わねばならないことはこれまでと同様である。そんな状況では、「戦後レジームからの脱却」と力んでみても、できっこないのである。

 美しい国の、闘う政治家をめざす安倍さんとしては、それでいいのだろうか。憲法に集団的自衛権は行使できると書き込む。学校では毎日日の丸に敬礼させ、君が代を歌わせる。不倫の子どもに戸籍など与えない。首相が靖国神社に参拝してどこが悪い。そんな政治信条を現実化させるには「衆参両院で3分の2を取りたい」と明言してダブル選挙に挑むことがベストの選択肢である。
 きっと、安倍さんもこの理屈は分かっているだろう。ただ、あまりにも自分勝手に過ぎる。いくつかの不安があるに違いなく、人知れず思い悩んでいるのではないか。

 まず、自民党内が賛成してくれるか。参院は、自らが得をする改選議員に異論はないだろう。戦績が自らの責任に直結する青木さんも反対はしまい。衆院はどうか。「郵政バブル」で当選した議員は反対するかもしれない。しかし、郵政選挙から2年近くたっており、「解散が無闇に早いのではないか」といった声に説得力はない。青木さんのいる津島派や安倍さんのお膝元の森派も反対はしまい。谷垣派や山崎派など非主流派も表向きは「憲政の邪道」などと批判するかもしれないが、どうせ八方ふさがり、ここで安倍さんが転ぶのも悪くないと考えないか。
 公明党が離れてしまう、という不安もあるだろう。しかし、これは本末転倒である。憲法改正に消極的な公明党とは決別するのがこのダブル選挙の真の狙いなのだから。
 そして、最大の不安はこの「暴挙」を有権者がどう見るか、に違いない。ただ、これもそんな心配をするぐらいなら首相などやめてしまえばいい、といった類の話である。いい先例があるではないか。郵政選挙はこのダブルより憲法的にも政治的にもデタラメだったが、小泉さんはあの迫力で圧勝したではないか。眦を決し、取り付かれたように「戦後レジームからの脱却」とか「美しい国」とか繰り返せば、一縷の勝算はある。街頭演説などは羽織袴ですべて神社や自衛隊基地の前でやるというのも一つの手である。
 こうした物狂いにも似た政治劇を前にしては、野党やメディアは有効な反撃ができない可能性がある。実は私はこれが一番心配なのだが、逆に言えば、安倍さんにとってはチャンスなのである。
 安倍さんはそれでも両院の3分の2はとれないかもしれない。しかし、衆院270〜280、参院で自民過半数をとれば退陣は要請されまい。参院で自民過半数に達しなければ、辞めて再起を期すだけである。

 ここ2、3週間、こうした私の考えを何人かの現職国会議員に話してみた。たいていは「それはありえない。衆院が納得しない」(東北出身の自民ベテラン)などといった反応で、わずかに神奈川県選出の自民中堅と若手の2人が「戦略としてはありえるが、安倍さんは根性がないから決断できない」と言ってくれた。
 しかし、ここに奇襲の妙味がある。安倍さんが急にど根性マンになったらどうするのか。私は準備(気持ちだけの)ができているが、みなさんはどうか。これから注意深く、安倍さんの言動を観察したほうがいいのではありませんか。(
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