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永田町の舞台裏 07.05.12号
なるほど二枚舌なのか

 やや旧聞に属するが、「ダブルトーク(double talk)」という単語が一時メディア界で流行った。3月24日付の米紙ワシントンポストが、従軍慰安婦問題に関する安倍さんの言動を批判する記事に使ったことがコトの発端だ。
 「二重のおしゃべり」というのは、二枚舌とかダブルスタンダード(二重基準)とかいった意味だろう。同盟国の宰相に対する強烈な批判によって、米国がこの「sexual slavery(性奴隷)」問題に非常にセンシティブなことが明らかになった。安倍さんもようやく事態の重大さに気づいたのか、この後、日米首脳会談や米議会幹部との会談での「謝罪」にまでつながった。

 その「二枚舌」についてである。なるほど安倍さんは二枚舌なのか、と妙に納得することが最近も2件あった。

 まずは、いわゆる民法722条問題だ。条文は「妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。婚姻の成立の日から200日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する」となっており、ここから子どもに戸籍がなかったり、遺伝的につながっていない父親を持たざるを得なかったり、といった不都合が生じる。両親がどんな状況にせよ、子どもには罪はないのだから、と言って自公両党が法改正に乗り出し、改正案もまとまりかけた。しかし、法相の長勢さんなど自民党内保守派の巻き返しで、見送りになったのはみなさんもご承知だろう。
 なんでこうなったのか。公明党代表の太田さんに聞くと、「安倍さんとも是非やりましょうという話になった。それで動き出したのに……。よく分からない」と言う。これは連立相手に配慮して表現は穏やかだが、別の公明党幹部に解説してもらうと、「安倍さんは太田さんにはいい顔をして、保守としての信条で相通じる長勢さんには反対するよう囁いたんだよ。我々は二枚舌を使われた」となる。

 もう一点も公明党から聞いた。例の集団的自衛権に関する有識者会議の件だ。この会議については、13人の委員のほとんどが集団的自衛権の行使を認めるべきだというのが持論で、やはり太田さんは「乱暴な方が多い」と批判的だ。公明党は集団的自衛権の行使は認めない立場で、太田さんは安倍さんに会いに行き、「従来の憲法解釈を尊重する」との言質をとったという。
 太田さんはある種拍子抜けしたらしいが、実はこうした安倍さんの対応にも公明党は懐疑的だ。安倍さんがこの有識者会議に対して検討を指示した、集団的自衛権の行使にかかわるグレーゾーン4類型について、政調会長の斎藤鉄夫さんは「ほとんどは個別的自衛権の範疇で解決できる」と見る。では、なぜ、それをことさらに検討するのか。「安倍さんのホンネは明らかに政府解釈の変更だ。有識者会議にいろいろ検討してもらったらやはり集団的自衛権は行使できるという政府解釈にすべきだ、とならないか」。これも公明党幹部の見立てだ。

 安倍さんが二枚舌を使うのはご本人の勝手だが、この調子を続けて公明党が米国のように本気で怒ったらどうなるだろう。これまでは我慢強かった公明党がいつまで安倍さんのこうした仕打ちに耐えられるか。ちょっと期待して、観察していきたい。(O)
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