
永田町の舞台裏 07.04.14号
地方自治、遼遠なり
恥を承知で、以下の話をしたい。
8日、私は自宅から200mほどの中学校に妻とともに投票に出かけた。ここは神奈川県藤沢市。引っ越してきて、11年になる。
知事選の候補は3人。現職は民主党衆院議員時代に党首選に出たこともあり、知名度は高い。個人的に会ったこともあり、共通の友人もいるから、この人がだいたいどんな人間かは分かっている。
自民党県連が擁立した新顔については、元ユニ・チャームの社員で長野や埼玉でなんとか鉄道の社長をやっていたらしい、ということを何かで知っていた。確か小太りだったような、メガネは掛けてたっけ……。とても勝てそうにないからと自民党が推薦しなかったという話も新聞で読んだような気がする。
共産党推薦の女性候補はやはり新聞で、都立西高出身、座間で基地闘争をしていたらしいことは知っていたが、それがすべてである。
さあ、だれの名前を書こうか。現職は昔からなんで民主党にいるのか分からなかったが、今回の知事選でも石原慎太郎都知事と共闘したりして、いっそうスタンスが分からない。自民系候補は自民党自体が確信を持ち得ない人に我々が付き合う筋合いもないだろう。死に票もなんだかなあ……まあ、仕方ないか。こんな感じである。
同時に投票した県議選はもっと「悲惨」だった。
この市の定数は5。投票所で、候補者は自、自、公、民、民、共、社、無の8人であることを始めて知る。選挙公報も新聞の候補者紹介なども読まないし、ポスターすらまともに見なかったから、いざ投票しようとしても、経歴や議員活動歴はおろか、顔も歳もわからない。ウーン。そういえば選挙期間中一度も街頭演説に行きあたらなったし、選挙カーも1度も見なかったな、と気づくが、もはや処置なしだ。
政治に興味がないわけではない。商売柄、国政のことは議員のキャラクターから政策、政局までかなり詳しいつもりだ。しかし、自分の住んでいる街となると、この通りからっきしである。実はこのとき、私は現職の市長の名も知らないことに気づき愕然とした。東京に住んでいたときは、のちに国会議員になったこの街の市長の名を知っていたのに。私が変なのだろうか、それとも自宅は夜寝るだけというサラリーマンはだいたいこんな「自治意識」しかもっていないのだろうか。
私はなぜこんなに怠惰なのか。ちょっと自己分析させてもらうと、神奈川県政にいま投票で雌雄を決しなければならないような課題はまず見当たらない、と思っていることが大きいように思う。あえて探しても、米軍再編による県内の基地機能強化があるが、自民を勝たせても民主を勝たせても、違いはほとんどないのではないか。格差解消は大いに関心があるが、現職と自民系候補は同じ市場主義者だから、施策に違いが出るはずもない。原発を「みなとみらい」に持ってくるとか、横須賀に核弾頭を配備するとか、そんなテーマが持ち上がらない限り、本気で知事選や県議選を考えないように思う。
22日の市議選はもっとひどいことになるに違いない。自慢じゃないが、現職市議の名は一人として知らない。それに、市政も同様、どう議会構成が変わろうと、ゴミとか医療とか介護のサービスに多少の違いが出るだけであって、何かが極端に変わるわけではない、と強く思っている。告示されても、新聞もビラも読まないことがいまから分かっている。
個人的には、駅周辺から最近デパートが2つと東急ハンズが撤退、海岸沿いもいっこうに美しくならず、藤沢も「負け組」に転落しそうな点が気になっている。しかし、だれかに投票して、活気のある中規模都市になるわけではないだろうとも思っている。
地方にもっと税源と政策決定権を与え、選挙の結果次第で、住民税が半分になったり、学校の先生が倍になったりする。そうした「分権」をしない限り、「地方自治」はいつまでもフィクションに過ぎないのではないか。自らの怠惰も承知で、そう思う。(O)
恥を承知で、以下の話をしたい。
8日、私は自宅から200mほどの中学校に妻とともに投票に出かけた。ここは神奈川県藤沢市。引っ越してきて、11年になる。
知事選の候補は3人。現職は民主党衆院議員時代に党首選に出たこともあり、知名度は高い。個人的に会ったこともあり、共通の友人もいるから、この人がだいたいどんな人間かは分かっている。
自民党県連が擁立した新顔については、元ユニ・チャームの社員で長野や埼玉でなんとか鉄道の社長をやっていたらしい、ということを何かで知っていた。確か小太りだったような、メガネは掛けてたっけ……。とても勝てそうにないからと自民党が推薦しなかったという話も新聞で読んだような気がする。
共産党推薦の女性候補はやはり新聞で、都立西高出身、座間で基地闘争をしていたらしいことは知っていたが、それがすべてである。
さあ、だれの名前を書こうか。現職は昔からなんで民主党にいるのか分からなかったが、今回の知事選でも石原慎太郎都知事と共闘したりして、いっそうスタンスが分からない。自民系候補は自民党自体が確信を持ち得ない人に我々が付き合う筋合いもないだろう。死に票もなんだかなあ……まあ、仕方ないか。こんな感じである。
同時に投票した県議選はもっと「悲惨」だった。
この市の定数は5。投票所で、候補者は自、自、公、民、民、共、社、無の8人であることを始めて知る。選挙公報も新聞の候補者紹介なども読まないし、ポスターすらまともに見なかったから、いざ投票しようとしても、経歴や議員活動歴はおろか、顔も歳もわからない。ウーン。そういえば選挙期間中一度も街頭演説に行きあたらなったし、選挙カーも1度も見なかったな、と気づくが、もはや処置なしだ。
政治に興味がないわけではない。商売柄、国政のことは議員のキャラクターから政策、政局までかなり詳しいつもりだ。しかし、自分の住んでいる街となると、この通りからっきしである。実はこのとき、私は現職の市長の名も知らないことに気づき愕然とした。東京に住んでいたときは、のちに国会議員になったこの街の市長の名を知っていたのに。私が変なのだろうか、それとも自宅は夜寝るだけというサラリーマンはだいたいこんな「自治意識」しかもっていないのだろうか。
私はなぜこんなに怠惰なのか。ちょっと自己分析させてもらうと、神奈川県政にいま投票で雌雄を決しなければならないような課題はまず見当たらない、と思っていることが大きいように思う。あえて探しても、米軍再編による県内の基地機能強化があるが、自民を勝たせても民主を勝たせても、違いはほとんどないのではないか。格差解消は大いに関心があるが、現職と自民系候補は同じ市場主義者だから、施策に違いが出るはずもない。原発を「みなとみらい」に持ってくるとか、横須賀に核弾頭を配備するとか、そんなテーマが持ち上がらない限り、本気で知事選や県議選を考えないように思う。
22日の市議選はもっとひどいことになるに違いない。自慢じゃないが、現職市議の名は一人として知らない。それに、市政も同様、どう議会構成が変わろうと、ゴミとか医療とか介護のサービスに多少の違いが出るだけであって、何かが極端に変わるわけではない、と強く思っている。告示されても、新聞もビラも読まないことがいまから分かっている。
個人的には、駅周辺から最近デパートが2つと東急ハンズが撤退、海岸沿いもいっこうに美しくならず、藤沢も「負け組」に転落しそうな点が気になっている。しかし、だれかに投票して、活気のある中規模都市になるわけではないだろうとも思っている。
地方にもっと税源と政策決定権を与え、選挙の結果次第で、住民税が半分になったり、学校の先生が倍になったりする。そうした「分権」をしない限り、「地方自治」はいつまでもフィクションに過ぎないのではないか。自らの怠惰も承知で、そう思う。(O)



