
永田町の舞台裏 07.03.03号
主張するかしないか、それが問題だ
安倍さんの人気が陰り気味だ。各種世論調査で支持率が下がり続け、直近の朝日新聞調査では支持率37%、不支持率が40%となった。業界では、これで政権に黄信号が点ったことになる。
このコラムでも何回か触れたが、私個人としては、安倍さんの政治的立ち位置、アジェンダ設定力、政策説明力、政局的芸当、人身掌握術などから見て、当然の成り行きと考えている。永田町でも「やっぱりあかんか」(引退した大物)といった受け止め方が多いようだ。
ただ、安倍さんの人気度は政局を占う、もっとも重要な変数である。数字が下げ止まれば参院選まではもつだろうが、30%近くまで支持率が下がると参院選を迎えられない事態もありうる。政局の激動は大歓迎だが、そう言っては身も蓋もないので、お節介を承知で安倍さんの起死回生策を考えてみよう。
いや、そう思った矢先、おもしろい話が飛び込んできた。安倍さんが「ハラを固めたらしい」という。ある幹事長経験者は解説する。安倍さんは就任以来、左右硬軟いろんなアドバイスを受け、言いたいことやりたいことを我慢してきたが、マスコミの受けも悪いし、支持率も振るわない。なにより保守層が落胆している。それならいっそのことホンネで自由にやらせてもらう、それで参院選に負けたら潔く退陣だ――と思っているというのだ。
それが顕著に現れた例が、衛藤晟一さんの復党問題だったらしい。安倍さんは思想的同士である衛藤さんの復党を幹事長の中川さんに指示したが、中川さんが世論の反応などを気にしてグズグズしていたので、強く叱責したという。同席者の一人はそのシーンについて、安倍さんとは思えない迫力だった、と周辺に語っている。
こうした安倍さんの決心を裏書するような場面にも遭遇した。先日、当チャンネルに出演していただいた官房副長官の下村さんは安倍さんから、どんどんメディアに露出して持論を語れ、と言われているという。下村さんも安倍さんとは政治信条において一心同体と言ってもいい。その下村さんは番組で、結構驚いたのだが、安倍さんが今年も靖国神社に参拝する可能性に触れた。
安倍さんがそう決心したのなら、それはそれで歓迎すべきだろう。
靖国神社参拝は首相の責務であり、外国にとやかく言われる筋合いはない。
憲法は占領軍の押し付けだから断固として変える。
世界中で戦う米軍を助けるため、集団的自衛権を行使する。
拉致問題が解決しない限り、北朝鮮には重油を1滴たりとも供与しない。
成長戦略で格差も解消する。
こう言い切ってもらうと、わたしたちも胸のつかえがなくなる。しかし、何度も言わせていただくが、論理に飛躍や短絡、すり替えがあるこうした「持論」をあくまで言い募る覚悟が安倍さんにはあるのだろうか。ふつう、こうした言説は政権維持には逆効果になってしまう。
そうするとやっぱり少しごまかすことになるが、安倍さんはまたこれが下手そうだ。日々の記者とのやりとりは、ほとんど一般論か質問のオウム返し。殉職警官の弔問に行けば、「ミヤモト」を「ミヤケ」と言い間違えてしまう。
わたしのお奨めはただ一つ、「黙る」ことだ。お内裏様のように黙って微笑んでいればいい。ハードパンチャーにはなれないのだから、相手のパンチをたぐりよせてクリンチに持ち込んでしまう。そうすれば、名宰相として歴史に名は残らないだろうが、多少は政権が長続きするかもしれない。(O)
安倍さんの人気が陰り気味だ。各種世論調査で支持率が下がり続け、直近の朝日新聞調査では支持率37%、不支持率が40%となった。業界では、これで政権に黄信号が点ったことになる。
このコラムでも何回か触れたが、私個人としては、安倍さんの政治的立ち位置、アジェンダ設定力、政策説明力、政局的芸当、人身掌握術などから見て、当然の成り行きと考えている。永田町でも「やっぱりあかんか」(引退した大物)といった受け止め方が多いようだ。
ただ、安倍さんの人気度は政局を占う、もっとも重要な変数である。数字が下げ止まれば参院選まではもつだろうが、30%近くまで支持率が下がると参院選を迎えられない事態もありうる。政局の激動は大歓迎だが、そう言っては身も蓋もないので、お節介を承知で安倍さんの起死回生策を考えてみよう。
いや、そう思った矢先、おもしろい話が飛び込んできた。安倍さんが「ハラを固めたらしい」という。ある幹事長経験者は解説する。安倍さんは就任以来、左右硬軟いろんなアドバイスを受け、言いたいことやりたいことを我慢してきたが、マスコミの受けも悪いし、支持率も振るわない。なにより保守層が落胆している。それならいっそのことホンネで自由にやらせてもらう、それで参院選に負けたら潔く退陣だ――と思っているというのだ。
それが顕著に現れた例が、衛藤晟一さんの復党問題だったらしい。安倍さんは思想的同士である衛藤さんの復党を幹事長の中川さんに指示したが、中川さんが世論の反応などを気にしてグズグズしていたので、強く叱責したという。同席者の一人はそのシーンについて、安倍さんとは思えない迫力だった、と周辺に語っている。
こうした安倍さんの決心を裏書するような場面にも遭遇した。先日、当チャンネルに出演していただいた官房副長官の下村さんは安倍さんから、どんどんメディアに露出して持論を語れ、と言われているという。下村さんも安倍さんとは政治信条において一心同体と言ってもいい。その下村さんは番組で、結構驚いたのだが、安倍さんが今年も靖国神社に参拝する可能性に触れた。
安倍さんがそう決心したのなら、それはそれで歓迎すべきだろう。
靖国神社参拝は首相の責務であり、外国にとやかく言われる筋合いはない。
憲法は占領軍の押し付けだから断固として変える。
世界中で戦う米軍を助けるため、集団的自衛権を行使する。
拉致問題が解決しない限り、北朝鮮には重油を1滴たりとも供与しない。
成長戦略で格差も解消する。
こう言い切ってもらうと、わたしたちも胸のつかえがなくなる。しかし、何度も言わせていただくが、論理に飛躍や短絡、すり替えがあるこうした「持論」をあくまで言い募る覚悟が安倍さんにはあるのだろうか。ふつう、こうした言説は政権維持には逆効果になってしまう。
そうするとやっぱり少しごまかすことになるが、安倍さんはまたこれが下手そうだ。日々の記者とのやりとりは、ほとんど一般論か質問のオウム返し。殉職警官の弔問に行けば、「ミヤモト」を「ミヤケ」と言い間違えてしまう。
わたしのお奨めはただ一つ、「黙る」ことだ。お内裏様のように黙って微笑んでいればいい。ハードパンチャーにはなれないのだから、相手のパンチをたぐりよせてクリンチに持ち込んでしまう。そうすれば、名宰相として歴史に名は残らないだろうが、多少は政権が長続きするかもしれない。(O)



