
永田町の舞台裏 07.01.20号
ヒソヒソ話は聞きたくない
今週、平沼さんが脳梗塞を患って入院中だ、と後援会が発表した。おそらく、その前日にメディアで広く報じられ、黙っているわけにはいかなくなったのだろう。
先週のことである。平沼さんに当チャンネルの討論番組にご出演をお願いした。いつも気持ちよく引き受けてくれる事務所に即座に「忙しい」と断わられたとき、我々も遅まきながら「やっぱり何かあったかな」とは思った。実は、正月早々から「平沼が倒れたらしい」という噂が永田町に流れていたからだった。
後援会によると具合が悪くなったのは昨年12月6日というから、1ヶ月以上表ざたにならなかったことになる。ある意味、事務所の危機管理能力が優れていたのだろう。ただ、この手の話は尾ヒレがつきがちである。平沼さんの場合も「再起不能?」という見出しが夕刊紙に躍っていたから、リスク管理にはやっぱり失敗したということかもしれない。
当チャンネルでレギュラー番組をお願いしている与謝野さんも昨年10月に入院した。数週間後、自民党税調会長を辞任したことで、メディアは「体調不良で入院」と伝えた。その後、病状などを伝える報道はあまりないようだが、だからと言って危機管理がうまくいったとはいえない。永田町にはやはり、おそらく根拠不明の「再起不能説」が飛び交っている。
政治家は簡単に言えば人気稼業であり、政敵にも囲まれがちだから、「病気」の話はできるだけ隠したいと思うのは分からないではない。元首相の大平さんが現職で亡くなったとき、元気そうに装った写真をマスコミに撮らせたことがあったが、まもなく亡くなった。やはり現職首相で倒れた小渕さんは意識不明なのに、話すことができたかのような説明がされたことは記憶に新しい。
先月、読売新聞の渡辺恒雄さんが日経で連載した私の履歴書でも、危篤の大野伴睦さんの代わりに秘書が俳句をつくって「伴睦作」として番記者に流すシーンが出てくる。保守政治家とその取り巻きの病気に対するホンネが見事に活写されていた。
ただ、最近は多少、風向きも変わりつつあるようだ。新党大地の宗男さん、民主党の仙谷さん、共産党の市田さんたちはがんであることを明らかにして、手術して復帰した。積極的に情報公開するから、真偽定かでない風評も立たず、かえってがんばれという話になるという展開は、傍で見ていてもすがすがしいものだったように思う。
永田町から目を転じると、たとえば王監督は胃がん、長島監督は脳梗塞を患ったが、彼らの闘病生活は広く知られ、それはある種感動的である。球界と政界、メディア環境は異なるだろうが、政界ももっと「病気」に対してオープンになればいい、と思う。政治家の病気をめぐるウソやヒソヒソ話は聞きたくない。(O)
今週、平沼さんが脳梗塞を患って入院中だ、と後援会が発表した。おそらく、その前日にメディアで広く報じられ、黙っているわけにはいかなくなったのだろう。
先週のことである。平沼さんに当チャンネルの討論番組にご出演をお願いした。いつも気持ちよく引き受けてくれる事務所に即座に「忙しい」と断わられたとき、我々も遅まきながら「やっぱり何かあったかな」とは思った。実は、正月早々から「平沼が倒れたらしい」という噂が永田町に流れていたからだった。
後援会によると具合が悪くなったのは昨年12月6日というから、1ヶ月以上表ざたにならなかったことになる。ある意味、事務所の危機管理能力が優れていたのだろう。ただ、この手の話は尾ヒレがつきがちである。平沼さんの場合も「再起不能?」という見出しが夕刊紙に躍っていたから、リスク管理にはやっぱり失敗したということかもしれない。
当チャンネルでレギュラー番組をお願いしている与謝野さんも昨年10月に入院した。数週間後、自民党税調会長を辞任したことで、メディアは「体調不良で入院」と伝えた。その後、病状などを伝える報道はあまりないようだが、だからと言って危機管理がうまくいったとはいえない。永田町にはやはり、おそらく根拠不明の「再起不能説」が飛び交っている。
政治家は簡単に言えば人気稼業であり、政敵にも囲まれがちだから、「病気」の話はできるだけ隠したいと思うのは分からないではない。元首相の大平さんが現職で亡くなったとき、元気そうに装った写真をマスコミに撮らせたことがあったが、まもなく亡くなった。やはり現職首相で倒れた小渕さんは意識不明なのに、話すことができたかのような説明がされたことは記憶に新しい。
先月、読売新聞の渡辺恒雄さんが日経で連載した私の履歴書でも、危篤の大野伴睦さんの代わりに秘書が俳句をつくって「伴睦作」として番記者に流すシーンが出てくる。保守政治家とその取り巻きの病気に対するホンネが見事に活写されていた。
ただ、最近は多少、風向きも変わりつつあるようだ。新党大地の宗男さん、民主党の仙谷さん、共産党の市田さんたちはがんであることを明らかにして、手術して復帰した。積極的に情報公開するから、真偽定かでない風評も立たず、かえってがんばれという話になるという展開は、傍で見ていてもすがすがしいものだったように思う。
永田町から目を転じると、たとえば王監督は胃がん、長島監督は脳梗塞を患ったが、彼らの闘病生活は広く知られ、それはある種感動的である。球界と政界、メディア環境は異なるだろうが、政界ももっと「病気」に対してオープンになればいい、と思う。政治家の病気をめぐるウソやヒソヒソ話は聞きたくない。(O)



