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永田町の舞台裏 06.10.28号
先走りの人々

 2週間前、北朝鮮問題を冷静に考えたいと申し上げたが、やっぱり騒ぐ人々が出てきた。

 まず、日本の核武装論が飛び出した。中川自民党政調会長、麻生外相といった面々が、北朝鮮の核に対して日本の核武装が抑止になるかどうか、議論してもいけないのか――と、妙に被害者意識がのぞく言い分を開陳している。
 だれも議論してはいけないとは言っていない。日本の核武装は損だということはもう議論済みなのではないか。ここで蒸し返すと、痛くもない腹を探られるだけだ、と言っているのだ。
 耳にタコだろうが、日本が核武装するにはNPTを脱退して、世界から孤立し、米国とも対立しなければならない。課せられる経済制裁も北朝鮮の比ではあるまい。ウランが入手できなくなるから、原発も動かなくなる。第一、北朝鮮の核攻撃を思いとどまらせることができるのかが疑問だ。
 中川さんも麻生さんもそのことは十分知っているはずだ。それなのに、議論してはいけないのか、と言いつつ、実際に自分が議論を始めないのはどういうことなのか。

 北朝鮮の核実験を「周辺事態」と認定せよという議論も一時、噴出した。米国が船舶検査をする際、米艦などに後方支援もできないというのではまずい、周辺事態だと決めてしまえば法的に問題なく支援できる、という言い分だ。しかし、これは慌てすぎだった。米国には北朝鮮の船を強引に止める考えがないことなどが明らかになると、急速にこの手の意見はしぼんだ。
 見慣れた光景ではあるが、そのたびに右往左往させられるのはメディアと国民で、落ち着かないこと甚だしい。政治家や官僚は、先走った話ではなく、どうしたら北朝鮮と平和裏に共存できるのか、現下の課題にまず取り組んで欲しい、と強く思う。

 一方、この間際立つのは安倍首相の慎重な言い回しだ。安倍さんはかつて、核武装に前向きな姿勢を見せたこともあるし、総裁選のころは「汗をかく日米同盟」を掲げていたが、就任以来の持論封印をまだ貫いている。
 しかし、なぜ、安倍さんが気に入って要職につけた人々が安倍さんと反対のことを言うのだろうか。親の心子知らず、といった単純なことではないだろう。現に安倍さんが麻生さんや中川さんに苦言を呈したという話は聞かない。役割分担なのか、大将出陣前の触れ太鼓なのか。君子は豹変したのかどうか、この点を十分観察しなければならない。(O)
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