
永田町の舞台裏 06.7.22号
「安倍外交」の2幕目
今週、国連安保理で採択された対北朝鮮非難決議は日本にとって上々の成果だったのではないか。個人的には、ミサイル発射実験をたびたび実施している米中両国が、北朝鮮に「君だけは実験してはいけない」と言うのは厚顔すぎる、と思っていたから、なおさら決議は僥倖のような気がしてしまう。
ただ、この間の官邸や外務省幹部らの言動、メディアの報道振りを見ると、簡単には喜べない。
まず、この「危機」に際して、汗を流したように見えるのは米国務省のクリストファー・ヒル次官補と中国外務省の武大偉次官ぐらいで、日本の外務当局の存在感は薄かった。一方、官邸・外務省からは「中ロは棄権するに違いない」とか「中国が拒否権を行使しても構わない」とか「いますぐ採決だ」とか、願望と憤慨がないまぜになった不注意な発言がメディアを騒がした。
それでどうなったかというと、どうも日本は埒外に置かれ、常任理事国が互いに許容できる内容に決議は落ち着いた。確かに、常識的な見立てより中国が譲歩した感があり「高値」で落ちついたのは日本が強気一点張りだったからという見方もあるだろう。
しかし、この間の、外野席から怒声を上げているような日本の対応は世界にどう映ったのか。制裁決議が採択されたとして、手負いの北朝鮮をどうハンドリングするつもりだったのか。中国に拒否権を発動されたら、6者協議をどう展開させるつもりだったのか。日本は北朝鮮を封じ込め、崩壊も辞さないのか。日本の外交当局から、この種のグランドデザインを聞いたことはない。
北朝鮮のミサイル発射後、メディアは日本の対応を「安倍外交」と呼び習わした。小泉首相は明確な態度を示さなかったし、外務省からも異論は聞こえなかったから、この認定は正鵠を得ているのだろう。
問題はここだ。ある自民党の大物は、ニューヨークの国連本部でしばしば各国の記者団に囲まれる大島賢三国連大使をTVでみながら、旧友を気遣った。「この浮かない表情。自分の言っていることが違うと思っているんだよ。違うと思っているのに次期首相には逆らえない……」
4年前の小泉訪朝後にも似たような光景が見られた。「安倍外交」が実際に動き出すと、こんなシーンが増えるのかもしれない。(O)
今週、国連安保理で採択された対北朝鮮非難決議は日本にとって上々の成果だったのではないか。個人的には、ミサイル発射実験をたびたび実施している米中両国が、北朝鮮に「君だけは実験してはいけない」と言うのは厚顔すぎる、と思っていたから、なおさら決議は僥倖のような気がしてしまう。
ただ、この間の官邸や外務省幹部らの言動、メディアの報道振りを見ると、簡単には喜べない。
まず、この「危機」に際して、汗を流したように見えるのは米国務省のクリストファー・ヒル次官補と中国外務省の武大偉次官ぐらいで、日本の外務当局の存在感は薄かった。一方、官邸・外務省からは「中ロは棄権するに違いない」とか「中国が拒否権を行使しても構わない」とか「いますぐ採決だ」とか、願望と憤慨がないまぜになった不注意な発言がメディアを騒がした。
それでどうなったかというと、どうも日本は埒外に置かれ、常任理事国が互いに許容できる内容に決議は落ち着いた。確かに、常識的な見立てより中国が譲歩した感があり「高値」で落ちついたのは日本が強気一点張りだったからという見方もあるだろう。
しかし、この間の、外野席から怒声を上げているような日本の対応は世界にどう映ったのか。制裁決議が採択されたとして、手負いの北朝鮮をどうハンドリングするつもりだったのか。中国に拒否権を発動されたら、6者協議をどう展開させるつもりだったのか。日本は北朝鮮を封じ込め、崩壊も辞さないのか。日本の外交当局から、この種のグランドデザインを聞いたことはない。
北朝鮮のミサイル発射後、メディアは日本の対応を「安倍外交」と呼び習わした。小泉首相は明確な態度を示さなかったし、外務省からも異論は聞こえなかったから、この認定は正鵠を得ているのだろう。
問題はここだ。ある自民党の大物は、ニューヨークの国連本部でしばしば各国の記者団に囲まれる大島賢三国連大使をTVでみながら、旧友を気遣った。「この浮かない表情。自分の言っていることが違うと思っているんだよ。違うと思っているのに次期首相には逆らえない……」
4年前の小泉訪朝後にも似たような光景が見られた。「安倍外交」が実際に動き出すと、こんなシーンが増えるのかもしれない。(O)



