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永田町の舞台裏  06.06.09号
日陰者でいいぢやないか

 六本木のころ、防衛庁・自衛隊の庁舎はひどかった。
 セメントの塊のような真四角の建物が団地のように並んでいた。どこもエレベーターはガタガタだったし、廊下を歩いていると床がうねっていることが分かった。
 少しでも装備をよくしたい。庁舎なんて最後の最後でいい……。そんなに高くない給与で夜遅くまで仕事をしている内局や幕の若手と話をすると、こんな答えが返ってくることが多かった。これは信用できるかもしれない、と感心した。
 先日も似たような思いに囚われた。隊員が自宅に持ち帰ったパソコンから防衛機密が流出したのだが、まだ数万人の隊員がパソコンの支給を受けずに私物を使っているという。相変わらず貧乏に耐えているなあ、と。
 しかし、その矢先のことである。国会最終盤になって「防衛省昇格法案」が閣議決定され、国会に提出された。
 確かに、防衛庁・自衛隊には長年、「日陰者」だとの被害者意識があった。そうした向きには、「庁」から「省」になることで一人前として扱われたい、という願いもあった。ただ、庁でも省でも実質的な違いはないから、自民党内にも理解者が少なく、店晒しにされ続けてきたのだが、ここへきての急転直下である。憲法改正、教育基本法改正と「普通の国家」路線が強まっていることとは無関係ではないのだろう。
 防衛庁・自衛隊にはもちろん、日本刀を振り回すような向う気の強い人も少なくない。ただ一方で、「戦争になったら軍は負け。戦争を防ぐことが軍の役割」という理性的な人もけっこういる。
 軍事当局を「庁」にしていることは、米国や中国、北朝鮮のような「軍」に頼る国家ではないことを内外に宣言していることでもある。それは日本という国家の土台になる考え方だろう。これからでも遅くはない。国家に忠誠な防衛庁・自衛隊の方々は昇格を遠慮する談話でも出してもらいたい。
 私たちはそれより前に、昨今の日米同盟の変質について国民に説明しなければならない、と。(O)
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